2018/01/13

wowow「ドクター・ストレンジ」感想

 アメコミ原作の映画です。

 「シャーロック」で有名になったベネディクト・カンバーバッジが主演というところが、本作の最大の売り。ただのヒーローものとは一線を画しています。っていうか、もろにホームズのキャラそのままです(笑)。つまり、才能はあるけど傲慢で、人の言うことに耳を貸さず、平気で他人の心を傷つける。映画「イミテーションゲーム」では、暗号解読機エニグマを開発した天才を演じましたが、こういったアスペルガー症候群(「シャーロック」では「高機能社会不適合者」という設定)っぽい役を演じさせると、カンバーバッジは最高ですね。一触即発ヒリヒリするような神経質さを感じさせる話し方や、おのれ以外誰も信じようとしない神秘的な目の色など、非常に魅力的です。本作でもそれが最大限に発揮されており、ストーリーそっちのけで、カンバーバッジの演技に見入ってしまいます。

 映像的には逆再生やら万華鏡的CGやらフラクタル的CGやらフィナボッチ的CGやら、おもしろい映像が次々に繰り出され、飽きさせません。また、カンバーバッジが敵から逃げるために異次元の扉を開こうとして、指を必死でくるくる回すシーンなんかは、なかなか笑えます。ラスボスがカンバーバッジのしつこさに音を上げるシーンも最高におかしい。

 あと、スタッフロールの後に出てくる、ジョッキのビールが勝手につぎ足される魔法・・・あれ欲しいなあ(笑)。

 

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2017/12/17

WOWOW「ぼくのおじさん」感想

 ネタバレあり。

 北杜夫の小説を映画化

 「ぼくのおじさん」というタイトルになってはいるが、北杜夫が自分のことを第三者視点で客観的にとらえつつ、あちこちに自分のぐうたらな言動についての言い訳を散りばめたもの、と考えて見ることもできる。

 真木よう子がヒロインを演じている。おじさんは真木よう子(推定35歳)に一目惚れして、彼女が経営するコーヒー農園のあるハワイまで出かけるのだ。

 残念ながら真木よう子は、私のストライクゾーンからは大きく外れているので、なぜ怠け者のおじさんが彼女を追いかけてここまで行動的になるのか、その必然性を全く感じられず困ってしまった。まあ、人の好みはそれぞれということでここは納得するしかない。

 さてそのおじさん、意外に人のよいところがあって、恋敵に勝ちを譲ったりするのだ。すると、「捨てる神有れば拾う神あり」で、甥っ子が書いた作文「ぼくのおじさん」を読んだ担任の女先生が「私、おじさんに会ってみたいな」と言うところで本作は終わる。

 で、この女先生を演じるのが戸田恵梨香(推定29歳)なのである。私としては真木よう子よりも戸田恵梨香のほうが、ストライクゾーンに近いのである。教室で生足にミニスカートというシーンもあったりして、おじさんに対するサービス精神も心得ていらっしゃるのだ(笑)。

 監督は最初から二人の女優さんをどう使うか、計算して配役しているはず。ということは、本作でおじさんをハッピーエンドにするためには、一人目の女性より、二人目の女性のほうを、若くて美人にしたほうがよいと計算するのは当然であろう。

 というわけで、女性の好みが監督と一致したのを感じることができた映画であった。

 必見とは言わないが、暇な時に、ほのぼの感を味わいたい人にはお薦めである。

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2017/12/10

Wowow「パッセンジャー」感想

 SF映画。

 宇宙船内の冬眠装置で眠っている間に、はるか彼方の新惑星に移住する、という設定。

 最初、宇宙船がゆっくりと前進する映像が流れる。宇宙船の前方部分には、シールドが張り巡らされているらしく、小惑星がぶつかっては光を放ち、消滅していく。この映像が実に美しい。宇宙船の造型も、斬新でかっこいい。

 ある時、宇宙船はシールドでは防ぎきれない巨大な小惑星と衝突する。深刻なトラブルが発生し、乗客の一人が、冬眠から目覚める。到着予定まであと90年。その間、たった一人で船内で生活しなければならなくなった彼が、孤独に耐えきれなくなり、ついに・・・という展開。なかなかに、人でなしなストーリーだ。女性の立場だったら、こんなのありえない!と叫びたくなるだろう。

 ストーリーは虫酸が走るのだが、映像はやたらと美しくかっこいい。このギャップが本作の最大の個性と言える。広大な宇宙空間で、自分一人しか存在しない、この圧倒的な孤独感は、今までのSF映画にはなかったものだと思う。無重力空間の演出の素晴らしさが、特にそれを強調する。

 中盤からは、登場人物が増え、なにやらストックホルム症候群(人質が犯人と閉鎖空間で長時間非日常的体験を共有した場合に発生する。人質が、犯人の心情や、事件を起こした理由を知って同情し、犯人に愛情を感じるようになるというやつ)っぽい展開となり、いちおうこれはこれでよい人生だったのではないですかねぇという終わり方をする。このストーリー展開、納得できる人と、納得できない人とに別れるだろう。私は納得できないほうだ。

 そういうわけで、ドラマ部分はどうでもいいのだが、映像美のほうは、大画面で何度でも見返したくなる、そんな映画である。

 劇中でアンドロイドのバーテンダーが、主人公にスコッチをいれてくれる。シーバスリーガルの18年ものだ。これがもしマッカランの18年ものだったら、主人公ももう少し、孤独を楽しめたんじゃないだろうか(笑)。

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2017/11/24

BD「キングコング 髑髏島の巨神」感想

 オリジナル1933年版(白黒)「キングコング」との比較をメインに。

 まずオリジナル版は、とにかくコングのキャラがわかりやすい。白人女性のアンに一目惚れしたら、その後はとにかく中年エロ親父パワー炸裂! 独占欲丸出しで、「オレの女に手を出すヤツは、誰だろうと皆ぶっ殺す」とばかり、肉食恐竜(ティラノサウルス?)をぶっ殺し、大蛇をぶっ殺し、翼竜(プテラノドン?)をぶっ殺す。そうしてやっと彼女と二人きりになったら、今度は彼女の衣装を一枚一枚引っぺがす。指についた彼女のにおいをフガフガかいで、ご満悦上。これって、危ない中年エロ親父と、行動原理同じだろ(笑)。オスの本能だよなあ・・・。

 映画の後半では、麻酔弾で眠らされ、ニューヨークに連れてこられるも、目の前でアンが人間の男といちゃついているのを見せつけられて怒り爆発!オレの女に何すんだ~とばかり、手枷足枷もぎ取って、アンを追いかけてマンハッタンのビルを登りまくる。ビルの中にそれらしい若い女性を見つけるも、アンと違うと知ったとたんに、ぽーいとビルの外に捨ててしまう。なんてわかりやすいキャラ(笑)。

 そこへいくと、新作のコングは、一体何のため闘っているのか、さっぱりわからない。大ダコと闘ったのは、どうやらタコの足喰うためらしいけど、トカゲの怪物と闘うのは、親のカタキなのか? だが、果たしてゴリラに、親の敵討ちという概念があるものなのだろうか?

 それとも、敵討ちじゃなく、人間を救うために闘ってるとでも? 本作は、人間にもいいヤツと悪いヤツがいる描き方なのだが、コングがどうやって、いい人間と悪い人間を見分けているのかがわからない。そもそも人間の善悪の価値観と、コングのそれとは一致しないだろう。

 オリジナル版はアンというヒロインに一目惚れしたのが、その後のコングの行動の動機となったが、本作のヒロインは、ちっともコングに気に入られていない。女性は白人カメラマンと、チャイナ系学者の二人いるんだけど、コングは彼女たちに、異性として興味を示さないのだ。

 なんで新作のコングは、人間を救うのだ?

 などと面倒くさいことは考えずに、単純にコング対怪物たちの対決シーンを楽しめばいいのではないか。そういういう映画なのではないか。

 で、それで結構、いやかなり楽しい(笑)。アクションシーンも楽しいが、カメラワークがあちこち楽しい。Aと見せて実はBだったみたいな。

 続編も観ようと思う。

 

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2017/10/01

WOWOW「淵に経つ」感想

 なかなかに衝撃的な作品であった。

 まずは、浅野忠信が演じる八坂の不気味さ。刑務所でたたき込まれたのだろう、姿勢や所作は実に端正で、きちんとした敬語を使う。遺族へ書き送る手紙は、文面も文字も丁寧。ぴしっと折り目のついた白いカッターシャツを着て、おまけにオルガンも弾けるときたら、そりゃあ章江が徐々に心惹かれていくのも無理はない。今のダンナよりもよっぽど魅力的に見えたことだろう。

 それでいて、「ああ、すみません。明るくしておかないと眠れないんです」などと、不穏な雰囲気をきちんと描写。

 川遊びの時、八坂が本音を一瞬見せるシーン、見ていてゾクッとした。

 そして、赤いシャツ。八坂が本性を剥き出しにする、その映像が怖い。

 熱心なキリスト教徒として、まじめに生きてきた章江視点で本作を見ると、実にやるせない気持ちになる。夫の本性を見抜けなかった罪。夫と娘がありながら八坂に気持ちが傾いたことの罪。どちらも不可避に近い。それなのに、神は章江に過酷な罰を授ける。実に不条理である。

 古舘寛治が演じる利雄も恐ろしい。終盤で妻の章江に真実を告げるシーンがある。その時の開き直りっぷりが、この男も八坂に負けず劣らずの悪党であることを教えてくれる。とどめは「お前だって、八坂とできていたんだろ」 章江をどん底にたたき落とす。川遊びの時に撮った写真が、ラストの切れ味鋭い伏線となっている。

 エンディングのオルガンが、また効果抜群で困った。よく計算された作品だと思う。

 追記

 前半と後半の間には、8年の時間の経過がある。利雄と章江夫婦の加齢加減が、そのたるみ具合が、実に見事。あれだけ肉体をたるませるには、一ヶ月以上はかかりそう。撮影の時は、前半部分を先に撮ったのか、それとも後半部分を先に撮ったのか、知りたくなってきた。もし後半が先なら、前半部分撮影のために、相当過酷な肉体トレーニングを行ったのではなかろうか。ライザッ・・・のCMに出演できそうだ。

 

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2017/09/17

wowow「セルフ/レス 覚醒した記憶」感想

 SF映画です

 ざっとあらすじ。建築家として巨額の財をなしたダミアン爺ちゃんは、寄る年波に勝てず、癌で余命わずかと診断される。そこで、金に物を言わせて、クローン技術で培養した若い肉体に自分の意識を移植する手術を受ける。もちろん認可された治療法ではなく、金持ちだけ相手にする闇組織。ところが手に入れた若い肉体は、実はある軍人が、自分の娘の治療費を捻出するために身体を売ったものだと判明。人道的にいかんだろと思ったダミアン爺ちゃんは、闇組織を叩きつぶすために動き出す。

 こうやって書くと、なんだかありえないような、すごい展開に思えますが、なにしろダミアン爺ちゃんは優秀な軍人さんの肉体をいただいたわけなので、アクションシーンなんかバリバリにこなせちゃうわけです。銃器の使い方もお手の物。しかも頭脳は人生の成功者として数多くの修羅場をくぐり抜けてきた爺さんの冷徹な思考力のまま。「私は慎重だ」「何事にも保険を用意する」いやこの台詞にはしびれました。クレバーな主人公大好きです。

 そんなわけで、ダミアン爺ちゃん(いや見た目は若いんですが)、がんばって闇組織の本拠地を探り当て、防御網をくぐり抜け、二度とこういう非人道的な治療が行えないよう、徹底的に破壊します。最後の絶体絶命のピンチも、冷静な判断で見事にクリア。爺ちゃん神対応ナイス!

 ラスト、ダミアン爺ちゃんが、軍人さん家族のために選んだ道も感動的。ウルトラマンの最終回をついつい思いだしちゃいました。

 ケンカしていた実の娘へのメッセージの渡し方も、実に素晴らしい。

 この二つのエピソードに共通するのが、相手に幸せになってほしいという思いの深さ。自分の幸せなんか二の次、というスタンス。老後はこうあるべきですぞ、全国の爺ちゃんたち(自分も含めて)。

 最近、爺ちゃんが活躍する映画が増えてきていますが、本作は見た目若くても心は爺ちゃん。しかも、すごくいい爺ちゃん。泣けます。

 また、若返りを謳って金持ち相手に臍帯血を売りつけたニュースなんかを聞いていると、もはや本作がSFじゃなくなってきつつあるように感じます。ただ、現実は、本作のようにスーパー爺ちゃんが登場して、悪をやっつけてくれたりはしないんですよね。

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2017/09/02

映画「ワンダーウーマン」感想

 話題の映画を観てきました。

 よかったです。本作の主役が女性であることを、徹頭徹尾貫いて描いた映画でした。見ていて爽やかな気分になりました。

 スティーブがダイアナに、ロンドンの洋装店でドレスを次々に試着させるシーンがあります。名作「マイフェアレディ」では、オードリー・ヘップバーンが徐々に淑女として開花していく様子が描かれましたが、あれはあくまでも男性にとって理想的な、あるいは男性にとって都合の良い女性への変身を描いていたわけです。本作ではガドット演じるダイアナは、そういった美しく女性らしい衣装に、なんの価値も見いださない。いやすごく似合ってるんですよ。どの衣装もガドットが実に魅力的に見えます。特に丸眼鏡と帽子の最後の一着なんかは最高! でもガドットは、「他の衣装に比べれば多少はましかしら? でもこんなもの、私の目的のためにはまったく何の価値もないわ」とでもいうような、竹を割ったような気持ちのよい態度を見せてくれるわけです。いや素晴らしい。

 最前線を、周囲が止めるのも聞かず、単身突っ切っていくシーンなんか、ガドットのあまりの神々しさに、もし今度誰かが「ジャンヌ・ダルク」を映画化するんなら、こういう描き方してくれよと思ってしまったくらいです。

 また、ダイアナはスティーブと一時恋に落ちたりもするんですが、最終的には「男なんかいなくっても、思い出だけで私は十分よ」なヒロインへと成長! いやあ、ホントにいい女は、男なんていなくても平気なんでしょうね。

 日本映画なら、長々ジトジトと描きそうなシーンも実にばっさりあっさりと進行します。先生の死のシーンとか、母との別れのシーンとか、彼との別れのシーンとか・・・。おかげでたいへんテンポ良くストーリーが進行します。いつまでも不幸にメソメソしたりせず、力強く未来を指向するヒロインの性格が、このテンポの良さで表現されています。

 アクションシーンも見せ方が素晴らしい。特に両膝滑らせながら剣を持って敵に突っ込んでいくところ! (これは映画のオフィシャルサイトのトレイラーでも見ることができます。)美しく、しかもかっこいい。おまけに曲もよい。

 主演のガドット嬢には、これからもどんどんこの路線で活躍してほしいものです。 

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2017/08/06

「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」感想

 8月23日発売予定キュウソネコカミの新曲「NO MORE 劣化実写化」冒頭部分をYou Tubeで聞くことが出来ます。「原作読んでんの」「監督どうすんの」「人間離れの再現できないマンガに手を出すな」などなど、笑える歌詞がぎっしり詰まっています。

 ネットでも「マンガ 実写化 失敗」で検索すると、出るわ出るわ(笑)。

 失敗理由として特に多く取り上げられるのが、 

1 キャスティングが自分のイメージと違った時(特に演技が下手な、売れているアイドルを起用した時)

2 監督が勝手に脚本を書き換えた時

のようです。

 さて、それでは今回のジョジョ、まず、1のキャスティングはどうだったでしょうか。以下に感想を述べたいと思います。

 広瀬康一:神木隆之介=よかったです。育ちが良くて、なんとなく頼りなさそうな雰囲気がぴったり。

 山岸由花子:小松菜奈=よかったです。美人なんだけど切れると怖そうな雰囲気がぴったり。

 虹村億泰:真剣佑=よかったです。美形なのにそれを表に出さず、単純で頭悪いけど男気のある役どころを見事に演じています。素晴らしい。

 空条承太郎:伊勢谷友介=私のイメージでは、空条承太郎はもっとマッチョな雰囲気だったので、あまりに胸が薄くて残念!

 山崎賢人:東方仗助=あごのラインがふっくらしていて、私のイメージと違います(笑)。

 次に2の、脚本の書き換えはどうでしょうか。以下に感想を・・・。

 じいさんとお袋、登場しすぎ。じいさんがパトロール中に町の若い無職青年に声をかけるシーンとか、家族で夕飯食べるシーンとか、じいさんの筋トレシーンとか、事件の切り抜き記事めくるシーンとか、葬儀シーンとか、あれ本当に必要? 全部カットしたらもっとテンポのよい作品になっただろうに。そうしたら、2時間のうち、最初の40分を片桐安十郎編に、次の40分を虹村兄弟編に、最後の40分を山岸由花子編に使えたのに・・・。じいさんとお袋の二人に有名ベテラン俳優(國村隼と観月ありさ)を使ったのが失敗ですね。無名でいいんですよ。そしたら俳優さんに気を遣わずばっさり登場シーンを減らせたのに。

 同じ事が、山田孝之演じる片桐安十郎にも言えます。これ、無名の役者が演じていたら、ここまで無意味なドラマを延々と見せられることもなかったのではないでしょうか? 我々は、原作にない片桐安十郎のドラマなんかには、これっぽっちも興味ないのです。それなのに、本作はうっかり山田孝之を使ってしまったため、監督は彼の出番を増やさざるをえなかったのでしょう。延々と、どうでもいいドラマを見せられるハメになってしまいます。

 そういうわけで、私が監督なら、片桐編で20分くらいは削りますね。

 ストーリーの順番も違います。いきなり広瀬君が山岸さんに出会うシーンから始まります。それなのに、広瀬君のスタンドも、山岸さんのスタンドも、今回は出番なし。これっていったいどういう意図? (今回の第一部は、山岸由花子は登場するだけで、ドラマ部分はまったくないのです。)第一部で広げた風呂敷は第一部で一通り収めていただかないと、観ている観客はものすごいフラストレーションが溜まるのでは? 

 最後に全体的な感想を。

 期待していたのはスタンドの活躍シーン。それなのにスタンドの出ている時間が少ない。下手な人間ドラマなんか、もうさんざん見飽きてるからいりません。それより、もっとスタンド見せて! もっと「ドララララ」聞かせて! そのためのCGなんじゃないの?

 今回、ジョジョシリーズの第四部を実写化したわけですが、なぜ第四部なのか、説得力がありません。やたらと感情移入しすぎて、テンポが重くなるシーンが多いのです。

 第一部~第三部と違って、第四部の主人公は、石仮面や赤石などの宿命に巻き込まれた過去の主人公のような悲壮感が薄い。また、第一部から第四部へと進むにつれて、敵を倒す手段が、肉体的な方法よりも頭脳パズル的な、知的な手段によるものが多くなる傾向にあります。例えば第3部の主人公のスタンドは、時間を止めることができるという、ほぼ無敵な能力を持っているのに、第4部の主人公たちのスタンドは、文字の擬音を実在化させるとか、一度壊したものを元通りにするとか、そのまま使ったのでは戦力として役に立たなさそうなものばかり。この、一見何の役にも立ちそうにない能力を、どう組み合わせて相手を倒すか、頭を使っての闘いになるわけです。(虹村弟のスタンドなんか、一番戦闘力がありそうなのに、残念ながら使い手の虹村弟が「お前、バカだろ」なために、うまく使いこなせていないあたり、絶妙なバランスとなっています。)

 つまり怒りに身を任せて肉体攻撃力的解決をはかる主人公ではなく、怒ってはいてもどこかでクールに計算する主人公、それが第四部の仗助です。それなのに、なんでこの映画の仗助は感情移入しすぎるの?

 せっかくスペインでロケしたのに、作品のテンポは日本独特の浪花節的重さでのったりべったり。からっと乾燥した空気感が感じられません。もったいない。

 

 ああでも、山岸由花子=小松菜奈の怖ーいぶち切れシーン見たさに、きっと第二部も観に行ってしまうんだろうなあ・・・。あ、これってひょっとして、監督の思惑通りになってる(笑)。

 

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2017/07/23

wowow「ひつじ村の兄弟」感想

 第68回カンヌ国際映画祭<ある視点部門>グランプリ受賞作品。
 アイスランドの人里離れた山村で、隣同士に住む老兄弟グミーとキディーは超変人。女性とまともな会話ができないため、二人ともずっと独身。ただ、羊の飼育に関しては村で一番二番を争うほど。毎年村の羊コンテストで優勝、準優勝を獲得したりする。ところがこの兄弟、隣に住んでいながら、この40年もの間全く口をきかないほどの不仲。どうしても会話が必要な場合は、飼い犬に手紙を託すという、非常に古典的な手段を使うのだ。

 ある日、兄キディーの羊がスクレイピーにかかっていることが判明。規則により、村の全ての羊は殺処分、羊小屋も全て殺菌焼却処分しなければならなくなる。村の羊飼いたちは皆、断腸の思いで飼っていた羊を処分する。もちろん、政府から補償金は出るのだが、ここまで何世代もかけて優秀な遺伝子を育て上げてきた兄弟にとって、処分される羊たちは、もはや金では買えない価値のあるもの。

 というわけで、弟のグミーは掟破りの行動をとる。しかもそれが、ずっと不仲だった兄弟が共同戦線を張るきっかけとなるのだ。ざっくり言うと本作、兄弟が仲直りする話なのだ。

 ラストの伏線として、何度も兄弟の入浴シーンが出てくる。年取った爺さんの裸なんか見たくもないのだが、これがラストの伏線になっているのだから面白い。

 羊がやたらとかわいい。とくにラストシーンで夜の山岳地帯を駆けていくシーン。きゅっとひきしまった足首と、もふもふの毛のコントラストがなんとも言えない。

 最後のスタッフロールで流れる曲も実に素晴らしい。

 で、結局羊はどうなったの(笑)?

 

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2017/07/09

wowow「グッドネイバー」感想

 最近じいさんが主役の映画を立て続けに観ているような気がします。これも高齢化社会の影響でしょうか?

 さて本作、隣に住んでいる偏屈な老人の家に、無線装置を使って怪奇現象を発生させ、老人が驚く様を盗撮して楽しもうという、ろくでもない若者二人組が主人公。二人組の、イーサンのほうが、とにかくむかつく大馬鹿野郎で、観ていて胸くそ悪くなってきます。いちおう最後のほうで、イーサンがなぜこんなことをしたのか、その動機が説明されます。だからといって、彼らの行いを許す気には、さらさらなれませんが。

 次に老人のほう。彼は次々に起こる怪異現象にまるで動じず、しばしば地下室にこもるので、若者二人組は、絶対地下室に何かあると思い込みます。たしかに地下室には何かあります。それは最後に明かされるのですが、ドラマの途中で何度か、老人の過去の記憶が映像として挟み込まれます。これがヒントとなっています。

 最初はこの老人、近所迷惑な偏屈じじいとして描かれます。犬を散歩させている人を見かけたら、「ちゃんとしつけておけ。さもないとこの犬を切り刻んでお前の家に送りつけてやる」みたいなことを言ったり。ところが最後のどんでん返しで、観客はびっくり。私なんかてっきり、じいさんは射殺されたのだとばかり・・・これ以上ネタバレするのはやめましょう。ただ、タイトルはちゃんとこの作品の内容を暗示しているということは、お知らせしておきます。

 思いっきりB級映画ですが、なかなかの佳作だと思います。

 今後も、老人が主役で、なおかつ様々な切り口の映画が増えていく予感がします。

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