2018/04/01

Wowow「ローガン」感想

 アメコミのヒーローの話だと思ったら全然そんなんじゃなかった。

 名作「シェーン」が劇中で使われるが、次世代が少女であるため、むしろ「レオン」の雰囲気の方を強く感じた。

 タイトルが「ローガン」なんだが、そのまんま日本語で「老眼」にしてもOKなんじゃないかと思った。冗談じゃなく!

 それくらい「老い」がテーマとなっている。「おっさん&じいさんはさっさと現役退いて、次の世代に明け渡せ」と言っている。

 身につまされるテーマだ(笑)。

 ・・・このブログも13年ほど続けてまいりましたが、そういうわけで、本日をもって老兵は退役いたします。

 ご愛読ありがとうございました。

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2018/03/24

映画「ちはやふる 結び」感想

 前作「下の句」から2年。

 「下の句」では千早の迷走っぷりがあまりに激しくて、見ていてイライラとフラストレーションがたまりましたが、今回は太一君が迷走します。ただし、太一君には師匠が登場し、迷える子羊太一君を新たなステージへと導いてくれます。しかも、この師匠、読み手の声が発する前の空気の震動から、次の音を予感するという特殊な才能を持っていて、カルタ永世名人として無敵の力を持っているのに、財布に現金が入ってなかったり、甘い物に目がなかったりと、絶妙なキャラ設定です。彼の存在が本作を大変魅力ある物にしています。特に太一が、無理してカルタを続けてきたことをあっさりと見抜くシーン、太一の苦悩に寄り添うシーンはぐっときます。

 同じくらい素晴らしいのが上白石萌音。新入部員の大失敗を、和歌を使って、「昔からそういうことはよくあったのよ」と慰める。いやいい子だなあぁ。特に千早から「カルタやっててよかった?」と聞かれた時の答え。ぐっときました。いやいい子だなぁ・・・。

 かるたクイーンの松岡茉優も、どS&不思議ちゃんキャラになりきっていて、特にテレビ中継シーンは楽しませてくれました。

 カルタ競技特有の戦術がいくつか出てきて、素人の私にはちんぷんかんぷんでしたが、そこは想像力で補える範囲でしたので、全然気になりません。気になったのは、2年たって、役者さんたちもそれなりに大人になったため、高校生役にはちょっと無理があるかなと感じるシーンがちらほら。でもそこは想像力でなんとか・・・(笑)。

 途中に差し挟まれる水彩画タッチのアニメが、また実に効果的。水彩画だから滲んで見えるのか、こちらの涙腺が緩んでいるから滲んで見えるのか、さてどっちだったんだろ?

 ダイナミックなカメラワーク、静と動を感じさせる音楽、だれることのない緊迫したストーリー展開、いい映画だと思いました。

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2018/03/04

WOWOW「帝一の國」感想

 原作は読んでいません。予備知識なしで見ましたが、本作はマンガ原作の映画としては飛び抜けて面白いと言えるのではないでしょうか

 まず、役者がいいですね。主役の帝一を演じる菅田将暉、全力でおバカな役を演じていますが、ちっとも暑苦しくなく、むしろ爽やかです。これってすごくポイント高いと思います。なかなかこういうことが出来る役者さんは、いないと思います。

 脇を固める男子たちも、タイプが色とりどりに揃っています。特にライバル役がみな素晴らしい。女性は目移りするのではないでしょうか。学園祭で、その生徒会のそうそうたるメンバーたちが、ステージ上、皆ふんどし一丁で太鼓を叩くパフォーマンスがあります。それを見た女性がくらくらっと倒れる演出がなされていたのですが、まったく不自然さを感じさせません。それくらいに皆さんおしりが魅力的です(笑)。かように、皆主役を張れるであろう若手男性俳優を、惜しげもなく脇役で使って、しかもおしりを(これも惜しげもなく)丸出しにさせている点が、本作の最大の魅力でしょう。

 それだけでなく、菅田将暉の父親役を演じる千葉雄大の、苦み走った表情が、本作にビターな隠し味を加えています。現実にはありえないような採点シーンも、千葉雄大の演技のおかげで、ぐっと引き締まったものになっていました。

 また、構図的に「あ、これはきっと原作にあるんだろうな」と思わせるような、パースをぐっと強調したものがちょくちょくあり、いいスパイスとなっていました。

 男性キャラが皆素晴らしかったのに対し、女性キャラがやや弱かったような気もします。このあたり、原作はまだまだ続きがあるようですし、本作の評価も非常に高いことから、きっと続編が撮影されることでしょう。というわけで、今から楽しみに待っていたいと思います。

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2018/02/11

Wowow「チア☆ダン」感想

 あまり興行成績が伸びなかった映画なので、期待もせずに見たのですが、予想に反して面白かったです。

 まずは突っ込みどころから。

 ヒロインとその彼氏が「ちはやふる」と同じ広瀬すずと真剣佑で、しかも方言が福井弁とくると、これはもうデジャヴかと思っちゃうくらい。笑いました。

 笑いのツボが、かなり微妙な感じです。ここは笑うところなのかなと、毎回判断に苦しみました。ワンテンポ遅れて、役者が「そこ歌うんかい」などと突っ込みを入れてくれるので、ああ、ここはやっぱり笑っていいんだなと安心したり・・・。

 チームワークを乱すバレエ畑の女の子は、途中で袂を分かつのですが、その後どうなったのか、描かれていません。ちょっと消化不良な感じがします。

 身体能力で優るアメリカ人相手に、どうやって戦うのか、その戦略や分析等がまったくありません。決勝で突然センターを入れ替える理由も、映画の中では一切触れません。「笑顔だけじゃない何か」みたいなことをコーチが言うシーンがあったり、ヒロインの母親がチアやってたらしかったりと、いくつか作中で示唆はあるのですが、やや不十分な気がします。

 決勝で、皮下脂肪の多い女の子のダンスが魅力的に見えるシーンがなく、アナウンサーが前言撤回する根拠が見当たりません。

 以上ちまちまと重箱の隅を突きました。

 次に気に入ったところ。

 生徒たちの成長物語としてだけでなく、指導する先生の成長物語としても見られるようになっているところ。終盤で先生の苦悩が明かされるシーンには、じーんときてしまいました。

 当方Perfumeのファンなので、どうしても彼女たちのサクセスストーリーと比較して見てしまうのですが、共通点が多いことに驚きました。

 ①とにかくダンスが好き。

 ②よい先生に恵まれた。

 ③よい仲間に恵まれた。

 ④円陣を組んで本番前の緊張に克つ!

 ⑤身体能力でアメリカ人に劣っているのに、海外で成功させた。

 Perfumeも苦労して成功したグループなので、本作もついつい感情移入して見てしまいました。

 ただ、Perfumeの場合は、MIKIKO先生が「日本人でなければ表現できない」部分(奥ゆかしい品のよさ)で勝機を見いだしたので、「チア☆ダン」も何かそのあたり突っ込んでくれたら、一層高い評価をしたのですが・・・惜しい。

 実話ベースなだけあって、彼女たちの行く手を阻む障害も、一つや二つではなく、かなり複雑で、一筋縄ではいかないところが、本作の説得力を生み出す要因となっているように思います。生徒の各家庭の事情とか、個々のレベルアップのためにあえてチームの雰囲気を壊すとか、リーダーがあえて憎まれ役を引き受けるとか、なかなかにてんこ盛りです。バッサリ刈り込んで、「スイング・ガール」みたいに、あっさりさっくりエンタメ路線で行く方法もあったと思うのですが、あえてそうしなかった所に拍手を送りたいと思います。

 

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2018/01/28

wowow「モンスタートラック」感想

 アメリカの自動車映画。アニメだと「カーズ」が有名ですが、本作は実写です

 ジャンル的にはファンタジー系なのでしょうか。油田の下から飛び出してきた謎のモンスターが、高校生のピックアップトラックのエンジン部分となり、次々に物理の法則を無視したファンタジックなドライビングを見せるというもの。荒唐無稽な設定なのですが、たいへん面白く観ることができました。

 何がよかったかというと、まずはモンスターの造型でしょうか。足が八本ほどあるので、タコなのかと思いきや、水の中を悠々と泳ぐ姿は、さながらジュゴンのよう。つぶらな瞳もポイント高し。ラストで主人公が自分のピックアップトラックに施す塗装がまたよろしい。

 次に興味深かったのは、日米の高校生の文化の違い。

 日本で走り屋と言えば「頭文字D」のように、軽量ボディに高回転型ハイパワーエンジンを積み、固く引き締めたサスペンションで峠を走るものでした(今の若い人はどうだか知りませんが)。ところが、アメリカの高校生にとっての車文化とは、直径1メートル以上はありそうな巨大タイヤを四輪駆動でぶん回すV8高トルクエンジンを積んだピックアップトラックで、道なき道をガンガン走るというものらしいのですね。さすが大陸文化。舗装道路よりも圧倒的に未舗装道路の方が多いお国柄が出ています。昨今日本で流行りの、なんちゃって四駆(SUVと言うらしい)なぞ、お呼びじゃありません。完璧にマッチョでマッスルです。

 次に驚いたのが、アメリカの高校では、家庭の事情などで授業に出席できない生徒の家に、同級生が授業内容を教えに来るらしいという所。しかも本作では美人(らしい。私のストライクゾーンからは、ちょっと外れていて・・・)の女子高生が主人公のところにやってくるわけです。こんなの日本では絶対ありえない(笑)。まあ本作もエンタメ映画ですから、大分盛ってるんでしょう。

 テーマとしては、一応、環境保護と家族愛のようなものがあるわけです。しかも家族愛の部分は、モンスターの家族愛に触発されて主人公にも家族愛が芽生えるなど、なかなか考えられた脚本となっています。

 楽しい映画でした。

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2018/01/13

wowow「ドクター・ストレンジ」感想

 アメコミ原作の映画です。

 「シャーロック」で有名になったベネディクト・カンバーバッジが主演というところが、本作の最大の売り。ただのヒーローものとは一線を画しています。っていうか、もろにホームズのキャラそのままです(笑)。つまり、才能はあるけど傲慢で、人の言うことに耳を貸さず、平気で他人の心を傷つける。映画「イミテーションゲーム」では、暗号解読機エニグマを開発した天才を演じましたが、こういったアスペルガー症候群(「シャーロック」では「高機能社会不適合者」という設定)っぽい役を演じさせると、カンバーバッジは最高ですね。一触即発ヒリヒリするような神経質さを感じさせる話し方や、おのれ以外誰も信じようとしない神秘的な目の色など、非常に魅力的です。本作でもそれが最大限に発揮されており、ストーリーそっちのけで、カンバーバッジの演技に見入ってしまいます。

 映像的には逆再生やら万華鏡的CGやらフラクタル的CGやらフィボナッチ的CGやら、おもしろい映像が次々に繰り出され、飽きさせません。また、カンバーバッジが敵から逃げるために異次元の扉を開こうとして、指を必死でくるくる回すシーンなんかは、なかなか笑えます。ラスボスがカンバーバッジのしつこさに音を上げるシーンも最高におかしい。

 あと、スタッフロールの後に出てくる、ジョッキのビールが勝手につぎ足される魔法・・・あれ欲しいなあ(笑)。

 

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2017/12/17

WOWOW「ぼくのおじさん」感想

 ネタバレあり。

 北杜夫の小説を映画化

 「ぼくのおじさん」というタイトルになってはいるが、北杜夫が自分のことを第三者視点で客観的にとらえつつ、あちこちに自分のぐうたらな言動についての言い訳を散りばめたもの、と考えて見ることもできる。

 真木よう子がヒロインを演じている。おじさんは真木よう子(推定35歳)に一目惚れして、彼女が経営するコーヒー農園のあるハワイまで出かけるのだ。

 残念ながら真木よう子は、私のストライクゾーンからは大きく外れているので、なぜ怠け者のおじさんが彼女を追いかけてここまで行動的になるのか、その必然性を全く感じられず困ってしまった。まあ、人の好みはそれぞれということでここは納得するしかない。

 さてそのおじさん、意外に人のよいところがあって、恋敵に勝ちを譲ったりするのだ。すると、「捨てる神有れば拾う神あり」で、甥っ子が書いた作文「ぼくのおじさん」を読んだ担任の女先生が「私、おじさんに会ってみたいな」と言うところで本作は終わる。

 で、この女先生を演じるのが戸田恵梨香(推定29歳)なのである。私としては真木よう子よりも戸田恵梨香のほうが、ストライクゾーンに近いのである。教室で生足にミニスカートというシーンもあったりして、おじさんに対するサービス精神も心得ていらっしゃるのだ(笑)。

 監督は最初から二人の女優さんをどう使うか、計算して配役しているはず。ということは、本作でおじさんをハッピーエンドにするためには、一人目の女性より、二人目の女性のほうを、若くて美人にしたほうがよいと計算するのは当然であろう。

 というわけで、女性の好みが監督と一致したのを感じることができた映画であった。

 必見とは言わないが、暇な時に、ほのぼの感を味わいたい人にはお薦めである。

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2017/12/10

Wowow「パッセンジャー」感想

 SF映画。

 宇宙船内の冬眠装置で眠っている間に、はるか彼方の新惑星に移住する、という設定。

 最初、宇宙船がゆっくりと前進する映像が流れる。宇宙船の前方部分には、シールドが張り巡らされているらしく、小惑星がぶつかっては光を放ち、消滅していく。この映像が実に美しい。宇宙船の造型も、斬新でかっこいい。

 ある時、宇宙船はシールドでは防ぎきれない巨大な小惑星と衝突する。深刻なトラブルが発生し、乗客の一人が、冬眠から目覚める。到着予定まであと90年。その間、たった一人で船内で生活しなければならなくなった彼が、孤独に耐えきれなくなり、ついに・・・という展開。なかなかに、人でなしなストーリーだ。女性の立場だったら、こんなのありえない!と叫びたくなるだろう。

 ストーリーは虫酸が走るのだが、映像はやたらと美しくかっこいい。このギャップが本作の最大の個性と言える。広大な宇宙空間で、自分一人しか存在しない、この圧倒的な孤独感は、今までのSF映画にはなかったものだと思う。無重力空間の演出の素晴らしさが、特にそれを強調する。

 中盤からは、登場人物が増え、なにやらストックホルム症候群(人質が犯人と閉鎖空間で長時間非日常的体験を共有した場合に発生する。人質が、犯人の心情や、事件を起こした理由を知って同情し、犯人に愛情を感じるようになるというやつ)っぽい展開となり、いちおうこれはこれでよい人生だったのではないですかねぇという終わり方をする。このストーリー展開、納得できる人と、納得できない人とに別れるだろう。私は納得できないほうだ。

 そういうわけで、ドラマ部分はどうでもいいのだが、映像美のほうは、大画面で何度でも見返したくなる、そんな映画である。

 劇中でアンドロイドのバーテンダーが、主人公にスコッチをいれてくれる。シーバスリーガルの18年ものだ。これがもしマッカランの18年ものだったら、主人公ももう少し、孤独を楽しめたんじゃないだろうか(笑)。

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2017/11/24

BD「キングコング 髑髏島の巨神」感想

 オリジナル1933年版(白黒)「キングコング」との比較をメインに。

 まずオリジナル版は、とにかくコングのキャラがわかりやすい。白人女性のアンに一目惚れしたら、その後はとにかく中年エロ親父パワー炸裂! 独占欲丸出しで、「オレの女に手を出すヤツは、誰だろうと皆ぶっ殺す」とばかり、肉食恐竜(ティラノサウルス?)をぶっ殺し、大蛇をぶっ殺し、翼竜(プテラノドン?)をぶっ殺す。そうしてやっと彼女と二人きりになったら、今度は彼女の衣装を一枚一枚引っぺがす。指についた彼女のにおいをフガフガかいで、ご満悦上。これって、危ない中年エロ親父と、行動原理同じだろ(笑)。オスの本能だよなあ・・・。

 映画の後半では、麻酔弾で眠らされ、ニューヨークに連れてこられるも、目の前でアンが人間の男といちゃついているのを見せつけられて怒り爆発!オレの女に何すんだ~とばかり、手枷足枷もぎ取って、アンを追いかけてマンハッタンのビルを登りまくる。ビルの中にそれらしい若い女性を見つけるも、アンと違うと知ったとたんに、ぽーいとビルの外に捨ててしまう。なんてわかりやすいキャラ(笑)。

 そこへいくと、新作のコングは、一体何のため闘っているのか、さっぱりわからない。大ダコと闘ったのは、どうやらタコの足喰うためらしいけど、トカゲの怪物と闘うのは、親のカタキなのか? だが、果たしてゴリラに、親の敵討ちという概念があるものなのだろうか?

 それとも、敵討ちじゃなく、人間を救うために闘ってるとでも? 本作は、人間にもいいヤツと悪いヤツがいる描き方なのだが、コングがどうやって、いい人間と悪い人間を見分けているのかがわからない。そもそも人間の善悪の価値観と、コングのそれとは一致しないだろう。

 オリジナル版はアンというヒロインに一目惚れしたのが、その後のコングの行動の動機となったが、本作のヒロインは、ちっともコングに気に入られていない。女性は白人カメラマンと、チャイナ系学者の二人いるんだけど、コングは彼女たちに、異性として興味を示さないのだ。

 なんで新作のコングは、人間を救うのだ?

 などと面倒くさいことは考えずに、単純にコング対怪物たちの対決シーンを楽しめばいいのではないか。そういういう映画なのではないか。

 で、それで結構、いやかなり楽しい(笑)。アクションシーンも楽しいが、カメラワークがあちこち楽しい。Aと見せて実はBだったみたいな。

 続編も観ようと思う。

 

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2017/10/01

WOWOW「淵に経つ」感想

 なかなかに衝撃的な作品であった。

 まずは、浅野忠信が演じる八坂の不気味さ。刑務所でたたき込まれたのだろう、姿勢や所作は実に端正で、きちんとした敬語を使う。遺族へ書き送る手紙は、文面も文字も丁寧。ぴしっと折り目のついた白いカッターシャツを着て、おまけにオルガンも弾けるときたら、そりゃあ章江が徐々に心惹かれていくのも無理はない。今のダンナよりもよっぽど魅力的に見えたことだろう。

 それでいて、「ああ、すみません。明るくしておかないと眠れないんです」などと、不穏な雰囲気をきちんと描写。

 川遊びの時、八坂が本音を一瞬見せるシーン、見ていてゾクッとした。

 そして、赤いシャツ。八坂が本性を剥き出しにする、その映像が怖い。

 熱心なキリスト教徒として、まじめに生きてきた章江視点で本作を見ると、実にやるせない気持ちになる。夫の本性を見抜けなかった罪。夫と娘がありながら八坂に気持ちが傾いたことの罪。どちらも不可避に近い。それなのに、神は章江に過酷な罰を授ける。実に不条理である。

 古舘寛治が演じる利雄も恐ろしい。終盤で妻の章江に真実を告げるシーンがある。その時の開き直りっぷりが、この男も八坂に負けず劣らずの悪党であることを教えてくれる。とどめは「お前だって、八坂とできていたんだろ」 章江をどん底にたたき落とす。川遊びの時に撮った写真が、ラストの切れ味鋭い伏線となっている。

 エンディングのオルガンが、また効果抜群で困った。よく計算された作品だと思う。

 追記

 前半と後半の間には、8年の時間の経過がある。利雄と章江夫婦の加齢加減が、そのたるみ具合が、実に見事。あれだけ肉体をたるませるには、一ヶ月以上はかかりそう。撮影の時は、前半部分を先に撮ったのか、それとも後半部分を先に撮ったのか、知りたくなってきた。もし後半が先なら、前半部分撮影のために、相当過酷な肉体トレーニングを行ったのではなかろうか。ライザッ・・・のCMに出演できそうだ。

 

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