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2018/02/25

山本弘「君の知らない方程式」感想

 BISビブリオバトルシリーズ第4作です。

 ビブリオバトルは、最近新聞でも取り上げられるようになってきており、徐々に知名度が上がってきているように感じます。

 何人かの発表者が、自分が読んで気に入った本を、順番に一人5分の持ち時間で紹介します。聴衆は、全員の発表が終わったら、一番読みたいと思った本に投票します。一番票を多く獲得した本の紹介者が勝ちというゲームです。

 本作の登場人物は、それぞれ読書傾向に偏りがあります。SFが大好きな主人公、ノンフィクションしか読まない堅物、ボーイズラブ専門の女の子、ラノベ大好きな美少年などなど。

 私はSFは割と好きなジャンルなので、本作の主人公が紹介してくれた「冷たい方程式」は、すごく気になりました。それだけじゃなく、ビブリオバトルで紹介された本はどれも読みたくなるものばかり。「それどんな商品だよ!本当にあったへんな商標」なんかホント今すぐにでも読みたい!

 私の勤務校の図書室には、生徒を図書室に誘いこむために、ラノベ系の本をかなり大量に取りそろえています。私はラノベ系は「キノの旅」シリーズや「涼宮ハルヒ」シリーズあたりまでしか知りません。今回、本作を読んで、あらためてラノベの名作の数々を知ることができました。「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」「僕は友達が少ない」などなど、背表紙のタイトルはいつも見て、知ってはいたのですが、巻数が多いので、手にとって読んだことはないのです。ああ、読みたくなってきた・・・。 

 今はそんなに読書にさける時間がないので、退職後の楽しみにとっておくとしましょう。

 苦言を一つ。作中のビブリオバトルは、毎回楽しく読ませてもらっているのですが、それとは別に存在する、登場人物たちの三角関係のドラマ、ラストの解決方法には無理があると思います。嫉妬心は、自分のDNAを次世代に残すために有利だから、長い年月の進化の過程で、消えることなく残されてきた本能だと考えられます。本能に無理して逆らうと、ろくでもない未来が待ち構えているはず。一夫多妻制が認められていた「源氏物語」だって、嫉妬心に狂う同僚や怨霊のせいで、女性たちがたいへんな目に遭っているじゃないですか。

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2018/02/18

武田康男「地球は本当に丸いのか? 身近に見つかる9つの証拠」感想

 中学校3年生の数学の教科書に、3平方の定理が出てくる。発展学習として、水平線までの距離を求めようというコーナーがある。もちろんこの答え、高さ次第で距離は随分と変わってくるわけだ。

 というわけで本書の登場である。

 一般的な大人の視線の高さ1.5Mだと、水平線までの距離は4.6キロ。富士山の高さ(3776m)だと230キロ。本書には323キロ離れた和歌山の山奥から、富士山の頂上撮影に成功した時の写真が載っている。これは新聞でも取り上げられていたので、見た記憶のある人も多いだろう。

 勤務先の生徒に、戦艦大和のマニアがいるので、大和の測距儀の高さからだと、何キロ先が見えるのかを調べてみた。高さ約30mなので、水平線は約21キロ先ということになる。その向こうは見えないというわけだ。

 ちなみに大和の主砲の射程距離は約46キロ。見えない距離にいる敵を撃っても、当たりっこない。これでは宝の持ち腐れではないかと思うかも知れない。だが、敵艦も大和と同じく高さ30mのブリッジを持っているとしたらどうだろう。ぎりぎり敵艦のてっぺんが見える距離、それがほぼ大和の射程距離ということになる。目視で狙って撃てるではないか!

 もちろん、発射から着弾までには時間があり(50秒前後)、狙った場所に着弾したころには、敵艦は違う場所に移動している。ずれを観測して、次の相手の位置を予測し、次弾を発射するのだが、敵艦だって、まっすぐ移動するような事はしない。だから、素人が考えても、これではとても命中しそうにないことがわかる。計算では、命中率は5%もないそうで・・・。使えないなあ(笑)。まあ、威嚇として(それ以上近づいたら撃つぞ的な)使うのなら意味があるのかも。

 本書はその他にも、スマホのGPS機能を使って地球の大きさを計算する方法や、空気の密度の差により、大気中の光線が曲がる性質から、実際に水平線が見える距離を計算する方法「地上大気差」(条件にもよるが、約6%遠くが見える)、さまざまな蜃気楼の写真など盛りだくさんな内容で飽きさせない。特に写真の美しさは、いずれもため息モノで、見ているだけで、ちょっと幸せになれる!

 

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2018/02/11

Wowow「チア☆ダン」感想

 あまり興行成績が伸びなかった映画なので、期待もせずに見たのですが、予想に反して面白かったです。

 まずは突っ込みどころから。

 ヒロインとその彼氏が「ちはやふる」と同じ広瀬すずと真剣佑で、しかも方言が福井弁とくると、これはもうデジャヴかと思っちゃうくらい。笑いました。

 笑いのツボが、かなり微妙な感じです。ここは笑うところなのかなと、毎回判断に苦しみました。ワンテンポ遅れて、役者が「そこ歌うんかい」などと突っ込みを入れてくれるので、ああ、ここはやっぱり笑っていいんだなと安心したり・・・。

 チームワークを乱すバレエ畑の女の子は、途中で袂を分かつのですが、その後どうなったのか、描かれていません。ちょっと消化不良な感じがします。

 身体能力で優るアメリカ人相手に、どうやって戦うのか、その戦略や分析等がまったくありません。決勝で突然センターを入れ替える理由も、映画の中では一切触れません。「笑顔だけじゃない何か」みたいなことをコーチが言うシーンがあったり、ヒロインの母親がチアやってたらしかったりと、いくつか作中で示唆はあるのですが、やや不十分な気がします。

 決勝で、皮下脂肪の多い女の子のダンスが魅力的に見えるシーンがなく、アナウンサーが前言撤回する根拠が見当たりません。

 以上ちまちまと重箱の隅を突きました。

 次に気に入ったところ。

 生徒たちの成長物語としてだけでなく、指導する先生の成長物語としても見られるようになっているところ。終盤で先生の苦悩が明かされるシーンには、じーんときてしまいました。

 当方Perfumeのファンなので、どうしても彼女たちのサクセスストーリーと比較して見てしまうのですが、共通点が多いことに驚きました。

 ①とにかくダンスが好き。

 ②よい先生に恵まれた。

 ③よい仲間に恵まれた。

 ④円陣を組んで本番前の緊張に克つ!

 ⑤身体能力でアメリカ人に劣っているのに、海外で成功させた。

 Perfumeも苦労して成功したグループなので、本作もついつい感情移入して見てしまいました。

 ただ、Perfumeの場合は、MIKIKO先生が「日本人でなければ表現できない」部分(奥ゆかしい品のよさ)で勝機を見いだしたので、「チア☆ダン」も何かそのあたり突っ込んでくれたら、一層高い評価をしたのですが・・・惜しい。

 実話ベースなだけあって、彼女たちの行く手を阻む障害も、一つや二つではなく、かなり複雑で、一筋縄ではいかないところが、本作の説得力を生み出す要因となっているように思います。生徒の各家庭の事情とか、個々のレベルアップのためにあえてチームの雰囲気を壊すとか、リーダーがあえて憎まれ役を引き受けるとか、なかなかにてんこ盛りです。バッサリ刈り込んで、「スイング・ガール」みたいに、あっさりさっくりエンタメ路線で行く方法もあったと思うのですが、あえてそうしなかった所に拍手を送りたいと思います。

 

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2018/02/04

麻生芳伸編「落語百選 春」感想

 最近NHKの「超入門! 落語 THE MOVIE」が面白い。

 落語家の噺にあわせて役者が完璧な口パク演技をするのだが、これが最高に楽しい! 特に女性陣が、浮気する亭主にヤキモチ焼いたり、若旦那をなんとも言えぬ色気で誘惑したりと、いい雰囲気出しているのである。また、時々思わぬ役者が登場したりして、(例えば元大関の把瑠都が大入道役で出てきて、かいがいしくお米を研いだり食器を洗ったりするのだ)見る者を楽しませてくれる。案内役の濱田岳もまた、とぼけたいい味を出している。

 というわけで、本作を借りて読んでみたら、つい先日(2月1日)放送されたばかりの「崇徳院」が載ってたりする。映像で見た後に原作を読むと、また一段と楽しいということを発見。また、話の後に解説があって、時代背景などの勉強ができるのもいい。

 過去放映作だと「三方一両損」「饅頭こわい」「粗忽の使者」「松山鏡」「猫の皿」などがある。

 タイトルの最後に「春」とあるから、当然「夏」「秋」「冬」もある。一冊25編、4冊で100編という勘定だ。テレビと一緒に楽しみながら、読み味わっていきたいと思う。

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