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2017/05/15

森絵都「みかづき」感想

 塾の黎明期である昭和36年から現在にいたるまでの、塾経営者親子三代にわたる物語。ページ数は466Pもあるが、なにせ三世代の物語だから、ストーリー展開は結構ぽんぽんと進む。気の強い女房に主導権を握られた主人公が、どうやって自分を取り戻すか? というドラマでもあるし、女系家族の親子三世代、女三姉妹の成長と確執と和解のドラマでもあるし、塾が日本社会で求められてきた役割の変遷を描いたドラマでもあるし、かなりてんこ盛りな印象。

 キャラ設定として笑えるのは、主人公の吾郎だろう。生徒個々の能力に応じた教材を用意し、できた! 解けた! という体験を何度もさせることで、自分で問題解決する姿勢を身につけさせるという、まさに今公教育が目指している「生きる力」の育成を、昭和36年に既にやっていたという先見性でまず持ち上げておいて、女癖の悪さで地に堕とす!

 塾の共同経営者として、ドSの女を登場させ、吾郎と対面させるのだが、なぜか吾郎は、それほどタイプじゃない彼女と結婚し、二人も子供を作ってしまう。それでいながら、攻撃的な性格の女房との毎日に息詰まった吾郎は、自分を癒やしてくれる心優しい古本屋の女に浮気する! という、なかなか笑える展開なのだ。

 嫌なタイプの女なのに、なんで結婚しちゃうかなあ・・・。しかも子供二人も作っちゃって・・・。

 この優柔不断さが、孫の一郎にもしっかり受け継がれているところが、また面白い。女性作家だからこそ、こんな設定の小説が書けたのではないだろうか? 男だったら、絶対こんな、男の立場が根本から揺らぐような書き方はしないと思う。 

 文部科学省が「ゆとり教育」に、実は何を求めていたのか? のあたりは、事実だとしたらずいぶんひどい話ではあるのですが、実際のところ、どうなんでしょう?

 個人的には、大学時代に綴り方教室を少々かじって教員になったので、最後のほうでそれが出てきた時には、正直うれしかったですね。

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