« 貫井徳郎「壁の男」感想 | トップページ | 映画「夜は短し歩けよ乙女」感想 »

2017/04/15

BD「聖の青春」感想

 最近、将棋が静かにブームになってきている?

 原作を読んだのは1999年あたり。もう18年も前!

 そういうわけで、どんな文章だったか、ほとんど忘れている。おぼろげな記憶では、たしか主人公が健気すぎて、ぼろぼろ泣きながら読んだような気がする。

 で、映画

 主人公、あんまり健気じゃないんですけど。むしろ、気持ち悪いオタク! 自己中! 自分の趣味を他人に押しつける傲慢さが鼻につきまくる・・・。「牛丼は吉野屋!」

 さらにはあちこちに笑いをとるシーンが挟まれていて、原作ははたしてこんなに笑ったっけかなあ・・・。

 日本の誇るカメレオン俳優、松山ケンイチが肉体改造して、ネフローゼ特有のむくんだ顔と身体で怪演してるのには驚いた。

 また、同じくカメレオン俳優の染谷将太が、村山の弟子を演じている。かつては神童とうたわれたのに、奨励会に入ってからは伸び悩み、最終局では鼻血出しながら小学生に負けるという屈辱に耐える青年を、見事に演じている。松山ケンイチ君よりも、染谷君のほうに感情移入する人の方が多いのではなかろうか?

 だがそれ以上に素晴らしいのは、羽生先生を演じる東出昌大。あごに手をやる仕草とか、頭をかきむしって空中を見上げる仕草とか、羽生先生の癖を、これでもかとばかりに次々とコピーして見せてくれる。よくぞそこまで忠実に! そしてお待たせしました!勝負所で出る有名な「羽生にらみ」までもを忠実に再現! 東出君すごいよ!

 本作の名シーンは、この羽生先生と村山聖が、深夜の食堂でビールを酌み交わすところ。「この店のオヤジは、ここにこうして座っているのが、羽生さんだと知っていても、絶対に知らんぷりするんです。そういういい店なんですよ」みたいなことを村山が言うのだが、残念! オヤジは羽生先生を見るなり「羽生名人だよね? 後でサインもらえる?」というギャグをかましてくれる。ところがその後の羽生先生と村山聖の会話が、実に奥深いのだ。この二人でなければ到達できない将棋の世界。その世界に「また二人で一緒に行きましょう」・・・村山聖が生きていた価値がひしひしと実感される、そんな名シーンなのだ。

 残念なことにこの名シーン。制作者側もこれは名シーンだから、もう一度使ってやれと思ったのか、ラストでもう一度使い回される。それ、やめてくれい!

 ちなみに私は渡辺竜王のファンでして、毎日渡辺先生のブログを読んでおります(笑)。

|

« 貫井徳郎「壁の男」感想 | トップページ | 映画「夜は短し歩けよ乙女」感想 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/49249/65154415

この記事へのトラックバック一覧です: BD「聖の青春」感想:

« 貫井徳郎「壁の男」感想 | トップページ | 映画「夜は短し歩けよ乙女」感想 »