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2017/03/05

恩田陸「蜜蜂と遠雷」感想

 グルメ漫画が流行した時に、どうして食べてもいないのに、こんなにおいしく感じるのだろうと感心したことがある。「複雑で深みのある香りのタペストリー」といった比喩表現や「はふはふ」などの擬音語により、我々読者は食べたことのない美味を勝手に脳内で想像しつつ読んだのだ。

 本作を読んでいて、そんなことを思いだした。聞いたことのない曲が半分近くを占める。それなのに、あたかも今聞いているような錯覚。サンサーンスの「アフリカ幻想曲」に至っては、手持ちのピアノ協奏曲第5番「エジプト風」と同じCDに収録されており、ということは今まで何度も聞いているはずなのに、まったく記憶に残っておらず・・・。本書を読んであらためて「ああ、この曲ってこういうイメージの曲だったんだ」と感心したり。

 例えばバルトークのピアノ協奏曲。ほとんどの読者が聞いたことないだろう。私だって聞いたことない。それが本書では「森を通り抜ける風」とくる。なんだか聞いたような気がしてくるではないか。曲が変わるたびに、いや同じ曲でも演奏者が変わる度にこんな調子で、新手の比喩表現を次々に繰り出してくる恩田陸に、ひたすら脱帽である。最後の方なんか、もう満腹でご馳走様って感じである。

 ちなみにようつべでは、小説の進行順に曲を並べた動画もアップされているようで、たいへんな手間であったろう。実にありがたいことである。

 ところで、ヒロインの名前は栄伝亜夜。実在のピアニストに長冨彩という、チャーミングな容姿の方がいらっしゃる。実は彼女のCD3枚持っているのだが(外見に釣られて買いました)、そのうちの1枚にコンクール曲の「イスラメイ」が収録されている。長冨彩、ひょっとして本作ヒロインのモデル?

 もう一つ、ヒロイン栄伝亜夜は皆から「アーちゃん」と呼ばれている。アーちゃんは天然である。コンクールのライバルであるマサルや風間塵とは、ライバルと言うよりも、お互いに尊敬しあう仲であり、それぞれの演奏が刺激となって、より高次元な表現につながっていくという、実に理想的な関係の3人組なのだ。 確か「あ~ちゃん」という名前の天然な女性が、お互い尊敬しあう3人組でユニット作って、紅白歌合戦に9年連続で出場してたような気が・・・。ひょっとして本作ヒロインのモデル(笑)?

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