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2017/03/20

アリス・マンロー「ジュリエット」感想

 カナダのノーベル文学賞作家による短編集。

 だが、そのうちの3作は、ジュリエットがヒロインの連作となっている。

 「チャンス」は彼女が大学院で古典を学んでいる時の、男の選択が描かれる。「すぐに」では未婚の母となったジュリエットの、母親や故郷の人々との距離の取り方が描かれ、「沈黙」では中年のキャリアウーマンとなったジュリエットの、娘との距離の取り方が描かれる。このように、女の一生で何度か出てくる人生の重要な選択シーンが次々に登場する。

 「東京タラレバ娘」というTVドラマは、「あの時ああしていたら・・・、こうすれば・・・」と過去を振り返っては、グダグダの泥沼状態に陥いり、そこから抜け出せない3人娘に向かって、「振り返るな、行け!」というナイスなアドバイスをする金髪イケメンという展開が、なかなか面白い。

 ジュリエットにも、タラレバ的な人生の分岐点がいくつも現れるのだが、このヒロインは振り返らないし、後悔しないのだ。どちらかというと、読者の方が「あんたあの時、ああしていたら」と、いらぬ忠告をしたくなるという(笑)。でもヒロインはそんな忠告、もし聞こえてもどこ吹く風みたいに、逞しく生きるのだろう。

 彼女の賢さがそうさせるのだろう。「賢い」というのは、人生の分岐点でどちらを選ぶか、きちんと自分で決断する力があり、そして自分で選択した結果は全て受け止めるだけの覚悟があることを言うのだということが、本作を読むとわかってくる。決して学力の高さとは関係ないのだ。

 魅力的なヒロインである。

 ちなみに私の好きなアルモドバル監督が、本作を映画化したそうである。是非観てみようと思う。

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