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2017/01/22

藤谷治「花や今宵の」感想

 タイトルにあるとおり、本作は和歌「花や今宵の」の矛盾点を解き明かそうとするのです。舞台が平家の落ち武者の隠れ里だったりして、ドラマが面白くなりそうな仕掛けは、いろいろ施してあるのです。

 山奥から不気味な低音が聞こえてきたりとか、山近くの松の生育が、ぐねぐねとうねっていたりとか、これは地中に何かあるぞと思わせるのです。

 当方、地表近くでマグマがうごめいているんじゃないかとか、放射性物質の鉱脈があるんじゃなかろうかとか、いろいろ想像しました。ラストでなにがしかの解答があるものとばかり思って、わくわくしながら読み進めたのですが、残念ながら肩すかしにあいました。なんとラストはマルチエンディング。映画「君の名は。」が、未来は変更可能という展開・・・つまり世の中はマルチエンディングという作品でしたから、本書のパターンも許されるのでしょうか? 最後にがんばった二人に作者からご褒美があったりする展開も、なんだかよく似ているので、比較されそうです。

 不満に感じたのは二通りのエンディングのどちらにも和田ラーメンが出てこないこと。和田ラーメンすごくいいヤツなのに、消されてしまいます。いないことにされちゃいます。かわりに主人公が会いたい人物がぽんと出てくるという・・・。和田ラーメンは人身御供か! 主人公の願望をかなえるための犠牲者か! 

 ちなみに和田ラーメンとは、主人公の郷里では和田姓があまりに多いので、区別するために職業名をくっつけるという・・・他にも和田トマトとかあって、笑えます。

 主人公のおばあちゃんの処世術もなかなか良い感じです。村人に噂される前に情報はフルオープンにして、妙な噂がたつ前に皆に受け入れてもらおうとか、実生活で役にたちそうなテクがいくつも出てきます。

 文章がこなれていない箇所が散見されます。編集者さんにはもうちょっと頑張ってほしいところです。

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