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2016/12/31

伊坂幸太郎「サブマリン」感想

 「チルドレン」の登場人物が再び活躍。

 主人公は家庭裁判所調査官。犯罪を犯した少年を、更正の余地があるかどうか調査・面接し、少年院送りにするか保護観察にするかを判断するお仕事。

 今回も伏線が実に丁寧。

ネットでの犯行予告が本物かどうかを高確率で見破る少年が登場するのはなぜか。

陣内はなぜ年上の男と難しい顔して喋っていたのか。

陣内にはなぜ視覚障碍を持った友人がいるのか。

陣内はなぜその友人にドラムの練習をさせたのか。

なぜタイトルは「サブマリン」なのか。

犯人はなぜ打ち切りになった漫画の最後を読みたがったのか。

・・・などなど(笑)。

 犯人がなぜ事故を起こしたのか、その理由が復讐なんだろうなということには、わりと早い段階で読者のほとんどが勘づくと思います。ただ本作、伊坂氏は読者の想像のさらにもう一枚向こう側に、真相を用意してくれています。最後まで楽しませてくれる一冊です。さらに本作、あちこちに浪花節が用意してあり、油断していると一気に涙腺が決壊しそうになります。いやホント陣内いいヤツ!

 ネットで犯人を見つけ出す手法はぼかして書いてありますが、最近のいじめ事件で、いじめた側が実名写真付きでネット上にさらされているのを見ると、これは本当に可能なんだなと背筋が寒くなりました。

 「法が犯人を罰しないのであれば、犯人がのうのうと生きているくらいならば、誰かが復讐すればいいのに」「悪い人間の命は奪ってもいい」「そんなひどいことをした奴は問答無用で潰してしまえ」

 昔は悪人を非合法に抹殺するという「必殺仕事人」などというシリーズがテレビでヒットしたりしました。

 なぜ悪い奴がのうのうと生き延びて、悪くない奴が死んだり苦しんだりしなければならないのか? この難しい問いかけに対して、作者はどんな答えを用意しているか。

 是非ご自身でご確認ください。

 ついでに、父親による家族内暴力で苦しんでいる少年たちも、ぜひ本書を手にとって読んでほしい。読書が苦手でも、207ページまでは投げ出さずに読んでほしい。少し世界の見え方が変わってくると思います。

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