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2016/06/12

ジル・ルイス「白いイルカの浜辺」感想

 読書感想文コンクール課題図書第2弾!

 今回は海外文学です。

 タイトルから、ひょっとしてイルカの保護を訴えるタイプの小説? 感情的に「イルカを殺すなんて、可哀想じゃないか」「高い知能があるイルカを殺すなんて野蛮人のする事」みたいな訴え方をする小説だったら、ちょっと嫌だな(①どの程度知能を持ったら、殺してはいけなくなるのか? イルカは駄目だけど、牛はOK? その境界線がわからない。②他の生物を殺して食べて生きるのが人間の本質。そこから目をそらしたくない。③イルカを殺さないと生きていけない人たちがいるのなら、その人たちの生活手段を保証できない限り、他人がそれを禁じる権利はない・・・などなどの理由により)そう思いながら、おそるおそる読み進めましたが、違いました。珊瑚礁を破壊する底引き網漁を阻止する事がメインのお話です。

 いや、イルカも絶滅危惧種だから大事にしよう! と言いたいらしいのですが、他にもディスレクシア(難読症)やら脳性麻痺やら、ヒロインとその彼氏に、なにがしかの障害を持たせて登場させたりするものですから、テーマがぼやけてぼやけて・・・。脳性麻痺のため片手片足が麻痺して地上では思うように動けない少年が、海の上でなら誰よりも上手くヨットを扱える! そういう、自分の価値を発見するのがテーマの話で、立派に一本小説が書けるのでは? と思ってしまいました。

 テーマどれか一つに絞れよ。それが無理ならせめて二つくらいに・・・。

 また、ヒロインの家庭は明日の生活にも困る失業状態にあります(父も難読症のため、普通の仕事に就けない)。さらに、ヒロインの居候先の家庭も、経済的に相当苦労しているのです。しかし、どういうわけか、家庭の経済的苦境を打破する方向に向けては、ヒロインは行動しません。父はその件について、かなり苦悩しているのに・・・です。本書を読んでいてイライラする理由は、おそらくこの辺りにあります。

 最終的にはトロール船のオーナーが改心して、珊瑚礁は守られるのですが、安直な結末だなあというのが、素直な感想。

 中国漁船が大挙して、日本の珊瑚礁から赤珊瑚をごっそり持っていった件は、今回の感想文を書く上で、たいへん参考になるでしょう。彼らは、今現在の自分の生活が大事ですから、将来の事なんか考えたりしません。子供達の世代のために資源を残そう! などと考えるゆとりは、今の生活に余裕のある人たちだけが持てるのではないでしょうか。ネット上には「どうして日本人も取らないんだ?」という彼らのコメントが載っていました(本物かどうかは未確認)。そういう感覚の人が、世の中にはたくさんいる。それが現実というものでしょう。

 以前新聞で、回転寿司のマンガを使い、大人がどんどん美味しいネタ(森林、石油エネルギー、海洋資源など)を上流で食べてしまうので、下流で待っている子供には、まったくネタが回ってこない。「ねぇ、ボクのぶんは・・・?」と子供がつぶやく。そんなWWFの広告を見た覚えがあります。本書よりも、そっちの広告の方がよっぽど説得力あるのでは? と思ったり。

 去年の「うなぎ 一億年の謎を追う」では、シラスの発生地点が確定できたのはいいけど、どうやってシラス密漁者から貴重な資源を守るのか、その点が未解決でした。柵を立てたり焼き印押したりして家畜を囲うことのできる畜産業と違って、漁業は境界線を引くことができないので、基本的に密漁し放題。抜本的な解決法って、あるんでしょうか?

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