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2016/04/17

姫野カオルコ「謎の毒親」感想

 直木賞作家姫野カオルコ先生の最新作。

 たいへんおもしろい小説でした。

 「謎の」とタイトルにあるとおり、なぜ親が我が子にそんなことをするのか、その理由が知りたい。それにお答えするのが、本屋の壁新聞「打ち明けてみませんか」コーナー担当者。

 ジャンルとしては安楽椅子探偵小説に近いような。

 親子のトラブルの原因に、いくつかのパターンがあるのは知っていました。

 例えば、自分の嫌いな部分を受け継いだ我が子を見るとイライラする。配偶者の嫌なところを受け継いだ我が子を見ても同様。

 母が自分の不幸な人生を、娘に歩みなおしてもらうために、過干渉になるというのもよくあるパターン。母が、若い我が娘を、女としてライバル視するパターンも。

 そして上記の解釈は本書でも当然回答者が触れるのです。そして、それだけでは到底説明のつかない理不尽な親の言動が、次々に出てきます。娘が運動会で一等賞をとったと報告すれば「くだらない」と言い、レストランで一家そろって外食し、娘がトイレに行っている間に両親ともいなくなり、その後「お前はなぜ勝手に一人でタクシーに乗って帰った?」と激怒する。テレビで映画の予告を見て「オムニバス映画だ」と言ったとたん「頭を床につけて謝れ」・・・他にも「あんたの鼻、膿がたまってる」「おまえの頭からはしびとの臭いがする」「この子、小児乳ガンなのよ」さらには町ですれ違った娘に「そちらは? えーっと・・・」などなど、理解不能な言動のオンパレード。クラクラしてきます。

 目次もこんな感じ。

「名札張り替え事件」

「恐怖の虫館」

「死人の臭い」

 目次だけで十分怪しい(笑)。

 ヒロインの悩み事相談に対し、親がどんな心理状態でそんなことをしたのか、本屋家族が述べるその推理が素晴らしい。ああ、そういう人たちだったのかと。人は心の奥底に無意識にこういう部分を持っているのかと。

 娘が反抗期に入ってお悩みのお父さん、お母さん。本書を読んでみてください。ひょっとして心当たりがあるかもしれませんよ。

 徐々に親の支配から脱出するヒロインの話としても楽しく読めます。親は毒親だったけど、ヒロインの周囲には結構いい人たちが沢山いて、本書はそこが救いとなっています。

 ちなみに本書、一番最後に衝撃的な一文があります。えーっ! そうなの? 思わず声を出してしまいました。

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