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2016/04/03

映画「あやしい彼女」感想

 韓国映画のリメイクだそうです。おばあちゃんがなぜか若返って青春をやり直すというファンタジーな筋書き。普通なら観ないタイプの映画なのですが、今回は主演が多部未華子、しかも本人による歌唱が、特にその歌声が素晴らしいとの前評判だったので、確認のため観に行きました。

 まず多部未華子の歌ですが、撮影に向けて訓練を受けた、とインタビューで言っていたとおり、なかなかうまかったのですが、感動したのは、歌のうまさではなく、その歌声のほうです。魅了されました。いい声です。

 ところで、劇中で多部未華子演じるヒロインが言うのですね。「いい唄って言うのは、何年たっても心に響くし、苦しい時にはその歌が救ってくれる」そうして多部未華子が唄うのが名曲中の名曲「見上げてごらん」、そして「悲しくてやりきれない」

 また、要潤プロデューサーは序盤でこのようなことを言います。「二十歳かそこらの若造にまともな歌詞が書けるわけない。人生の酸いも甘いも味わい尽くして、初めて人の心を揺さぶる詩が書けるんだ」

 「見上げてごらん」も「悲しくてやりきれない」も、まさしく「いい唄」です。胸に沁みます。多部演じるおばあちゃんの人生が歌詞にオーバーラップして、観る者の心を激しく揺さぶります。このシーンだけで、本作の価値があるのではないかと思われます。

 おかげで、ストーリー後半で要潤プロデューサーから「オリジナル曲で勝負しろ」と言われた時には、こりゃ後半の展開は苦しくなりそうだなと、いや~な予感。

 で、案の定予感は的中します。多部は「帰り道」という曲でフェスに参加するのですが、まあ悪い曲ではないと思います。シンガーソングライターの越野アンナという人の曲らしいのですが、プロデューサーはプロフェッショナル小林武史ですし。ただ、「見上げてごらん」「悲しくてやりきれない」にはとてもかないません。一週間たったら忘れてしまうタイプの歌です。

 ラストのライブで、図らずも劇中で要潤の言ったセリフの通りになってしまうというのが本作の哀しいところ。過去の名曲に挑んで、見事に失敗した作品となってしまいました。

 「悲しくてやりきれない」をラストのライブに持ってくるようなシナリオにすればよかったのに。

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73歳の瀬山カツは、娘・幸恵や、孫息子・翼の自慢話ばかりしている毒舌おばあちゃん。 ところが、娘とケンカして家出した彼女に、2度目の青春がやって来た! 突然外見だけが20歳に若返ってしまったのだ! こうなったらとことん好きなように生きてやろうと、「大鳥節子」という名前で新たな人生をスタートさせることに。 そんな彼女の天声の歌声は、たちまち周囲を魅了していく…。 コメディ。... [続きを読む]

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