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2016/04/10

BD「やさしい本泥棒」感想

 約1年前にBD化された作品です。それをなぜ今頃? と思うかも知れません。しかし、今だからこそ、この作品を紹介したいと思うのです。

 設定は1938年のドイツ片田舎。第二次世界大戦は1939年に始まり1945年に終わります。その間、ドイツの田舎町で何があったかを描いています。

 本を自由に読むことを禁じられる。ユダヤ人をかくまっているのを誰かに通報され、連行される。困っている隣人を救おうとした。人として当然のことをした。それなのに、今度は自分がナチスに連行されはしないかと、びくびくおびえながら暮らさなければならない。

 ヒトラーがどのようにして独裁政権を築き、ユダヤ人を排斥したか。もちろん選挙に勝ったからです。民主主義で選ばれたからです。ヒトラーの演説を聴いた国民の過半数が、ヒトラーに票を入れたからです。

 映画ではヒトラーの演説が流れるのですが、その内容があまりにも、某国大統領予備選挙の誰かさんの演説に似ていることに驚かされます。

 だって、この映画の方が1年以上も前なんですよ。

 つくづく「歴史は繰り返される」というのは本当なんだなと思わされました。

 子どもから、「一体なんのために歴史を学ぶの」と聞かれたら、「過去の過ちを学ぶためだ。そして同じ過ちを繰り返さないようにするためだ」と、力強く答えたい。

 某国の国民も、「歴史の勉強なんて面倒くさい」と言うのなら、せめてこの映画を観て欲しい。そもそもこの映画、舞台はドイツですが、制作はアメリカ。しかも全編英語です。

 本作、日本では公開されなかったそうですが、上記の事情がなくても、以下の点からたいへん素晴らしい作品としてお薦めしたいと思います。

 まず、タイトルの「やさしい本泥棒」というのは、ヒロインである少女リーゼルが、町長の屋敷からこっそり本を借り出し、空襲におびえる町民に物語を聞かせるシーンから。リーゼルの語る物語が、人々の心を癒やすシーンは大変印象的です。

 リーゼルの養母は、最初鬼母として描かれますが、本当は心優しい女。それがわかる雪合戦のシーンが、これまた印象的です。また、養父とリーゼルの「養母を頼む。あれは気が強いように見えるが、本当は弱い女なんだ」「知ってる」という会話シーンの美しさときたら。

 いっしょにサッカーをする隣の少年ルディが、ドイツ少年団に招集され、リーゼルと別れることになります。湖で二人きりになった時に「ヒトラーの馬鹿野郎」 二人で大声で叫ぶのです。湖の美しさと対照的な、少年少女の心の痛みが、なんともいえないシーンです。

 このシーン見て、世の中には、多数決で決めていいことと、いけないことがあるんじゃないか? つくづくそう思いました。

 ぜひ一度ご覧になってほしい作品です。

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