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2016/01/24

BD「キングスマン」感想

 本作は、「キックアス」の監督が、アメコミを映画化したもの。したがってかなり刺激的な映像が出てきます。頭部チュドーンの連続シーンに嫌悪感を感じるかどうかで、本作への評価は大きく変わるでしょう。ちなみに私はぎりぎりOKでした。

 スパイとして殉死した父を持つ主人公エグジーが、父に助けられて恩義を感じているハリーに鍛えられて、やがて父の後を継ぐ立派なスパイへと成長するという、ストーリーそのものは王道を行っています。スパイ養成学校で鍛えられる中盤の展開は、「愛と青春の旅立ち」みたい。

 また、英国スパイ映画ですから当然007シリーズと比べたくなるでしょうが、基本が少年の成長ストーリーなので、土俵が違うかなと思いました。どちらかと言うと、「マイ・フェア・レディ(作中で喩えとして使われます)」等と比べるべきかと。 

 とはいえ、倒立した状態で高速回転する足技を使う格闘技「カポエイラ」を駆使する女殺し屋! という、魅力的な敵の存在や、傘や靴に仕込まれた武器など、スパイ映画のアクションシーンとしてお約束な部分も充実しており、一粒で三度おいしい映画と思います。選曲も充実! 楽しめました。

 早くに父を亡くして経済的に恵まれず、母は暴力を振るう男と同居するなど、劣悪な環境で育ったエグジーは「下流の階級の人間は、どんなにがんばっても、そこから抜け出すことなんかできないんだ」と言って、捨て鉢な生活態度を取るのですが、ハリーが英国紳士流の教育を施すことで、少しずつ前を向いて成長する過程が、率直によいなあと思います。ラストでエグジーは、スパイとして成長するだけでなく、母に暴力を振るう父の支配を、跳ね返すだけの逞しい力を身につけることができた。世界中の、劣悪な家庭環境でやさぐれている少年・少女達の希望となってくれそうな、そんな作品です。

 

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