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2015/12/27

BD「海街ダイアリー」感想

 原作は1巻だけ読みました。マンガというよりも小説みたいな読後感でした。

 しっかり自立した女よりも、頼りなげな女のほうが好きな父。離婚後に再婚した女がまさにそんなタイプ。残された三人娘は、自分たちを捨てた父母を嫌うのだが、ふと気がつくと、父と同じように妻子ある男性を好きになったり(長女)、頼りない彼氏に100万円貢いだり(次女)して、なんでDNAはしっかり引き継がれてるんだろいやんなっちゃうでも私頑張るわ・・・みたいな。あらすじ書くと身も蓋もないのですが、これを実に丁寧に細やかに描いているのが原作。さて映画のほうはどうか

 広瀬すずをいかに美少女として撮るかに、監督ずいぶん力入れてますね。逆に次女役の長澤まさみの方は、かつて美少女だったのを、仕事に疲れたOLさん顔のあちこちにしわ寄ってますついでにヤケ酒飲んで酔ってますみたいな撮り方(笑)。完全に広瀬すずの引き立て役に徹してます。お見事! それは三女を演じる夏帆も同様。「天然コケッコー」で美少女を演じた彼女が本作では・・・。

 原作の細やかな心情描写は、映画でも見事に表現されています。特に前半の葬儀の時の女と女の闘いや、梅酒を飲んで酔いつぶれた広瀬すずを見て「あたし酔ってもこんなじゃないよ」と発言する次女(長澤まさみ)を(いいえあんたこんなんです)と目で伝える長女(綾瀬はるか)のシーンなど、実に素晴らしい。

 妻が絶賛したのが、広瀬すずのクラスメイトを演じる前田君。見た目はちっともイケメンではないけど、頼りになる奴。そんな誠実なキャラを見事に演じています。こんな男の子とつきあっていけたら、父の遺伝子の呪縛からは解放されて、幸せな人生を送れるだろうな。そんな予感をさせます。次女の方も、同じくイケメンじゃないんだけど誠実な上司のことが気になり出します。こんな風に、四姉妹の明るい未来が見え隠れするあたりで、この映画は終わります。

 良作です。

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