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2015/11/22

呉明益「歩道橋の魔術師」感想

 台湾の小説。

 1979年の台北に実在した「中華商場」が舞台。八棟ある商業施設を結ぶ歩道橋の上では、さまざまな物売りが店を広げていた。魔術師もその一人。九つの短編に登場する少年少女たちは、多かれ少なかれ、この魔術師のお世話になる。ある時は、動く紙人形に夢中になり、小遣いをまきあげられ、ある時は人生訓を垂れられる。子どもたちは、親が離婚したりケンカしたり、火事で焼け死んだり、密かに思いを寄せている近所のお姉さんに男ができたりと、結構ハードな人生を送っているのだが、魔術師の繰り出す不思議な世界の虜になることで、一瞬その現実を忘れ、そして、再び厳しい現実世界に立ち向かっていくのだ。

 やがて彼らは大人になり、ふとしたきっかけで、子どものころに見た魔術師のマジックを思いだす。同時に何か大事なものを失ったことに気付くという、鼻の奥がツンとする、ノスタルジーたっぷりの小説である。

 読後に残る印象が、どことなく昭和の頃の日本の、商店街の雑多な感じを思い出させるのもGood! 舞台となった「中華商場」は取り壊されて、今は存在しないというのも、ノスタルジーを加速させる。

 何度も出てくる「元祖はここだけ 具無し麺」というのが、一体どんな食べ物なのか、ものすごく気になってくる。(いや、ただのかけそばだろ 笑) 元祖はここだけって言うくらいだから、他にもまねする店があちこちにあるのか?(笑)

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