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2015/10/04

DVD「タンゴ・リブレ 君を想う」感想

 「2012年ベネチア国際映画祭でオリゾンティ部門審査員特別賞を受賞した愛のタンゴムービー」というのが、本作の売り込み文句らしい。

 主人公の中年男JCは、刑務所の看守。趣味でタンゴ教室に通っている。ある日その教室にアリスという30代の女性が入級し、JCは彼女とタンゴを踊る。ところがアリスの夫はJCの勤務する刑務所に服役中ということが判明。さらにアリスには中学生くらいの男の子がいることも判明。にも関わらず、JCはアリスに夢中になってしまう。一体こんな中年女しかも子持ちしかもダンナは服役中という女のどこがいいんだ? 見ていて激しく混乱してくる。 彼女のタンゴが情熱的だから?  

 さらにここで混乱するのが、アリスの夫の親友の存在。めちゃくちゃいかついガタイでスキンヘッド&背中全面刺青の中年男である。刑務所内では同じ部屋で、二人で服役生活を送っている。おホモだちというわけではないようなのだが、二人はとても仲がいい。で、この二人とアリスはどういう関係なのか、序盤ではさっぱりわからない。 

 ラストで、ここに書いた男四人たち(息子含む)は、アリスのために共同してあるとんでもない行動を起こす。 いやだからアリスのどこがそんなにいいわけ?   でも緊張した表情がやがてほぐれてだんだん幸せそうになっていくラストシーンを見ていると、彼らには彼らなりの幸せというものがあるんだろうな。まあ勝手にやってくれれば・・・という気になってくるのだ。 

 中年女一人に、なんで男が四人もメロメロになって人生棒に振るようなことやってんだバッカじゃやねえのこいつら? というストーリーとは別に、実はもう一つのストーリーが展開する。刑務所内の服役囚たちが、休憩時間にみんなでタンゴを踊り出すようになる・・・というドラマだ。最初はバカにして見ていた連中までもが、徐々にタンゴの魅力に取り憑かれ、ラストシーンでは恍惚と踊る服役囚たちの姿をバックにスタッフロールが流れる。

 タンゴには、男たちをオバカにさせる不思議な魔力があるというのが、本作のテーマと見た。バックに流れる音楽も名曲ぞろい。

 ストーリー展開をシンプルに語ると、上記の如くバカみたいにくだらないドラマなのだが、なぜか本作を見終えた後には、不思議な感動が残る。

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