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2015/09/20

万城目学他「みんなの少年探偵団」感想

 明智小五郎と二十面相が対決する江戸川乱歩の少年探偵団シリーズは、少年時代によく読んだ記憶がある。本作は表紙絵もまさに当時の雰囲気をぷんぷん漂わせていて、手に取った時の期待感が、いやが上にも高まっていく。

 湊かなえ氏や藤谷氏など、既に名をなした作家さんたちが、少年探偵団の設定をベースに、それぞれの個性をバチバチとほとばしらせた短編を書き上げ、それを一冊にまとめたもの。個人的には冒頭の万城目氏の作が一番ヒット。昭和のにおいがぷんぷんする世界観がたまらない。明智小五郎と二十面相の誕生秘話となっているどんでん返しな展開も、素直に楽しめた。

 逆に湊氏の作品は、少年っぽさが薄いため、オリジナルとの差が大きく、あまり感情移入できなかった。ただ、女性作家らしい個性は十分出ていると思う。

 小路氏の作品も、オリジナル少年探偵団の雰囲気とはかなりはずれている。だが、明智小五郎を知らない若い世代が主人公という設定はなかなか面白い。特に、若い主人公の砕けた口語調のセリフと、小林助手の前時代的なセリフの対比が楽しい。

 ラストの藤谷氏の作は、本書中では一番大がかりかつ、マンガチックな展開で、アニメのルパン三世やら名探偵コナンやらの雰囲気がぷんぷんする。ちょっと弱気になってしまった二十面相がいとおしい。がんばれ二十面相。へこたれるな二十面相。これからもよろしく二十面相。思わず心の中で叫んでしまった。

 本シリーズ、今度は短編ではなく、一人の作家が一冊書き上げていくらしい。まずは藤谷氏の「全員少年探偵団」が刊行済み。楽しみなシリーズである。

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