« 真藤順丈「黄昏旅団」感想 | トップページ | DVD「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車」感想 »

2015/09/05

BD「WOOD JOB!  神去なあなあ日常」感想

 原作は去年、香川県の中学校3年生「到達度の診断」テストに出題されたりして、一躍有名になりました(ただし香川限定! ちなみに出題されたのは、主人公が直紀のバイクに乗って駅に向かうシーン)。

 映画のほうは、主人公を染谷将太、直紀を長澤まさみが演じており、なかなかナイスなキャスティングです。長澤まさみが、意外に地味な女(着ている服のセンスや化粧など、原作のイメージよりもかなり地味目)を演じており、「モテキ」のビッチな女役の反動かと勘ぐったり(笑)。

 演出として笑えたのが冒頭。大学入試に落ちて、進路先の決まらない主人公が、ずらっと並ぶ各種求職パンフレットに向けて、噛んでいたガムを吐き出す。命中したパンフレットの事業所を訪問しようという実にテキトーな考え。ところが命中したのは自衛隊員募集のパンフ。いやいやそれを取り上げると、その下から、美女が微笑む写真が! それが林業体験を呼びかけるパンフレット。にやけながらそのパンフレットを抜き取ると、その下には、再び自衛官募集のパンフレットが・・・。

 笑える演出であると同時に、この後の主人公の1年間の境遇が、自衛隊員の最初の1年間の研修と共通する部分が多々あり、主人公の未来を暗示する伏線となっているところも面白い(例えば、家族との連絡がほとんど取れないとか、娯楽がまったくないとか、脱走してもすぐ捕まるとか、教官の命令は絶対服従であるとか、山岳地帯の作業でヒルに吸い付かれたりするとか)。

 人里離れた山奥ということをいやが上にも感じさせてくれるのが、昼間っから屋外で麻雀するばあちゃん4人組との会話。「バス停って、ここからどのくらいですか」「あ、バス停? 近いな」「うん、近い近い」「歩いてどのくらいかかりますか」「あんた若いから、2時間あれば着く」「そうじゃ、近い近い」

 30年ほど前、まだ高速道路の基礎の姿形すら存在しなかった岡山県蒜山高原で道に迷い、道路脇に立つおばちゃんに「スーパー○×△はこっちでいいんですか?」と聞いたら「ああ、この道まっすぐ行ったらすぐじゃ」と言われ、その言葉を信じて車を運転すること約1時間・・・。どこがすぐなんじゃい! という体験を思いだしました(笑)。

 最初は嫌々やっていた林業が、だんだん魅力的でやりがいのある仕事に思えてくるのはこの手の作品のお約束。ただ、映像としてそのあたりの描写が非常に丁寧でかつ美しく、見ていてなんだか崇高な気分になったりするのです。思わず「林業いいじゃん!」 と思ってしまうくらい。

 度肝を抜かれたのはラスト。原作では切った大木を山の斜面に沿って下まで降ろすのだけれど、映画ではジェットコースターのようなレールを木で作り、そこを豪快に滑らせるのです。いやこれ絶対CGだよね(笑)。

 林業研修の同期生に元ヤンキーの青年がいて、主人公がケガをして出血した時にタオルを貸してくれます。これが後々のナイスな伏線になっているので要チェック!

|

« 真藤順丈「黄昏旅団」感想 | トップページ | DVD「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車」感想 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/49249/62224590

この記事へのトラックバック一覧です: BD「WOOD JOB!  神去なあなあ日常」感想:

« 真藤順丈「黄昏旅団」感想 | トップページ | DVD「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車」感想 »