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2015/08/31

真藤順丈「黄昏旅団」感想

 他人の精神世界に入り込むSF映画(「インセプション」とか)は、今までたくさん観てきたが、本作のように主人公がとことんダメ人間というのは初めてだ。その上、本作はいちおうジャンルとしてはSF小説に入るんだろうけど、ちっともSFっぽくない。近未来でない。かっこよくない。むしろ臭い(笑)。それなのに面白い!

 また、過去のこの手の作品では、他人の精神世界に入り込んだ主人公が、そこでその人物の記憶をいじくりまわして、その後のその人物の人生を変えるというパターンが多かったが、本作では記憶はいじらず、観てきた記憶(おそらく当人は無意識になかったことにしてしまっていて、覚えていない過去の心の傷、トラウマ)をもとに、現実世界でその人物とカウンセリングをすることにより、人生を変えるというあたりが、現実的である。本当にこんなカウンセリングができたら、心の病で苦しんでいる人をどれだけ助けることができるだろう。

 さて、本作はそろそろ余命が尽きようとしている師匠が、後継者たる弟子を見つけて育成するという、「バケモノの子」パターンも含んでいる。当然師匠にはライバルがいて、師匠同士で戦ったりする。「バケモノの子」とは違って、弟子がとことんヘタレで、精神的に弱い人間の代表みたいな奴なので、かっこよく決着ついたりはしないところが面白い。その分、主人公が過去の自分のダメさと、きちんと向き合って前へ進もうとするところなんか、実に感動的なのだ。
 師匠がのたまうセリフが、なかなかぐさりとイタイ。特に次のなんか。
「人間ってのはごくまれに、不幸になることで親に復讐しようとするんだよ」「本人が意識するとしないとにかかわらずってところが重要なんだけどな」「自分がこんなにひどいありさまになってるのは、あんたのせいだと親に知らしめようとするんだ」
 無意識にこれやってる子ども、いっぱいいるよなあ・・・。

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