« Perfume 「モンスターバッシュ2015」レポート | トップページ | 真藤順丈「黄昏旅団」感想 »

2015/08/23

DVD「御園ユニバース」感想

 中年男が記憶喪失になり、倒れているところをヒロインに助けられる。徐々に記憶が戻るに連れて、男のろくでもない過去がわかってくる・・・という「泣ける話」の条件ナンバー5に出てくるパターン。これだけなら、似たような名作は過去にいくらでもあり、見る価値もないのだろうが、本作はラストのドライな締めくくり方がなかなかよく、一見の価値ありと言えよう。泣ける設定なのに、お涙ちょうだいではないのだ。

 なぜ泣けないか? 例えばヒロインを演じるのは二階堂ふみ。「私の男」では中年男(浅野忠信)を魅了する怪しい女子高生を演じ、「ヒミズ」では崩壊した家庭のせいで未来がまったく見通せない高校生(染谷将太)をサポートする女子高生を演じてきた。撮りようによってはいくらでも魅力的に撮れる女優である。それを今回監督さんは、とことん大阪のおばちゃんになりかけている若い女として撮っているのだ。セーラー服着たコスプレ姿が実に残念なのだ。ラストの横顔がぜんぜん美人じゃないのだ。むしろ完全に大阪のおばちゃんなのだ(二階堂ふみはまだ二十歳だというのに)。おかげでちっとも泣けやしない。でもすごく魅力的な作品になった。

 なぜ泣けないか? なにしろラストが「御園ユニバース」というライブ会場での演奏で終わるのだが、余計な説明や余計なセリフ一切なしなところが潔いのだ。必要最小限のセリフのみで終わるのだ。この後どうなるかは、勝手に観客のほうで想像してくれいという丸投げっぷりが、実にすがすがしいのだ。泣かせてやろう的な下心がまったくないところが素晴らしい。それでいて、じーんと感動するのだ。ストイックなのだ。

 主役の中年男を、関ジャニ∞の渋谷すばるが演じるのだが、そういった情報は一切忘れて本作を観て欲しい。彼の唄を聞いて驚くだろう。何者? え? ジャニーズ? ウソ! ってくらいうまいのである。

|

« Perfume 「モンスターバッシュ2015」レポート | トップページ | 真藤順丈「黄昏旅団」感想 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/49249/62139824

この記事へのトラックバック一覧です: DVD「御園ユニバース」感想:

« Perfume 「モンスターバッシュ2015」レポート | トップページ | 真藤順丈「黄昏旅団」感想 »