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2015/07/06

住野よる「君の膵臓をたべたい」感想

 新聞の広告に、時々この手の本が紹介される。「世界の中心で~」と同様、刺激的なタイトルである。ライトノベルなのかと思ったが、どうやらそうでもないらしい。一定の購買層がいるから、この手の本は、定期的に姿を変えて現れるのだろう。

 ざっとパターンを分析してみよう。「泣ける話の条件」によれば、まず・・・

1 死
大切な人や犬(笑)が不治の病や事故で死ぬ。
いい人が死ぬ。悪いやつが死んだら、すかっとしますが、いい人が死ぬと泣けますね。

というわけで本作も、いい性格の人が不治の病で死ぬ。

7 救われる話  
自分はたった一人だ。誰も自分のことを理解してくれないんだと思っていたら、思わぬところに自分のことを気にかけてくれる人がいたというパターン。 
自分はどうしようもなくだめな人間だ。なんの取り柄もない、生きていく価値のない人間だ。と思っていたら、思わぬところに自分の長所や努力や人間性を認めてくれている人がいたというお話。
小野不由美の「十二国記シリーズ」にこんなのありましたね。


というわけで本作も、後半でこのパターンが出てくる。

12 尊敬の感情から生まれる友情 
今までつきあっていた友だちが、実は自分にはまねできないようなすごい奴だった。
そこから真の友情が生まれる。
(真の友情には、尊敬の感情が必要だとか、誰か言ってませんでしたっけ?)
辻仁成の「そこに僕はいた」なんか、これですよね。


 本作も、このパターンで友情が生まれる。恋愛じゃなくて、尊敬の感情から産まれる真の友情・・・というストーリー。主人公はヒロインを尊敬し、ヒロインも主人公を尊敬する・・・本作はそんな展開になっている。

14 天然系 あるいは癒し系の存在がみなを救う。
主人公がちょっとお間抜けだけど、でも天然いい人で、そいつに出会うことによってみんなが感化されてどんどんいい人になってくなんて話もいいですよね。少年ジャンプ連載の「ワン・ピース」なんかはこのパターンかな?「アルプスの少女ハイジ」なんか、もろこんな感じですかね?


 まあ、ヒロインはそんなわけで、余命あと一年なんだけど、ちょっと天然入っている。しかもすごくいい人。

16 自分の人生残り何日、カウントダウンが始まる話。
病気などであと何ヶ月の命とか宣告されると、残った人生をいかに生きるか考えますよね。それまでどうしようもない人間だったやつが、死が近づくにつれて、今までしなかったようないいことしていったりして、すべてをみんなのために捧げて(だって死ぬ人は何持っててもしかたないですもんね。死ぬってわかってるんなら、生きてるうちに形見分け!)そして誰にも気づかれずにひっそりと死んでいくといいかもしれないですね~。死んでからみんな気がつく。あいつ、実はそうだったのか~、なんで言ってくれなかったんだよ~とかね。
ガン、エイズ、いろいろ考えられますね。一度死んだ人間が神様の思し召しで、期間限定で生き返ったりするのもいいかも。


 本作も、ヒロインの死後、遺書(のようなもの)が発見され、「あの時のあのセリフは、実はそういうことだったのか~・・・」というパターンが用意されている。

 こういうパターンで書かれた「泣ける話」が好きな人は、ぜひ読んでみよう。止めはしない。

 文体は、一部に村上春樹っぽいところがあるかと思えば、ヒロインの笑い方など、テレビゲームっぽいところも多々あり、評価に困る所である。

 

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