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2015/05/04

伊坂幸太郎「火星に住むつもりかい?」感想

 タイトル通り、我々はこの地球上で生きていくしかない。今住んでいる世界が住みづらいのなら、そこから逃げるのではなく、世界を変えていくしかない。

 根底に流れる危機感は「ゴールデン・スランバー」の時から変わらない。権力を乱用する者と、そこから逃げようとする無実の市民、というパターンだ。本作は、人間の心に潜むサディスティックな本能を、また、群衆になるとさらにその本能に拍車がかかる点を、特に強く描いている。平和警察なる権力者が、容疑者を拷問によって自白に追い込んでいくシーンや、公開処刑を待ち望む市民たちのシーンがそれだ。ただ、このあたりのテーマについては、遠藤周作がイエス・キリストの処刑シーンにからめてずいぶん昔に何作も書いており、特に目新しいものではない。

 本作で驚いたのは、正義の味方を捜索する真壁捜査官のキャラクター。なんだか奥田英朗の「イン・ザ・プール」に出てくる伊良部一郎に似ているのだ。人を食うにもほどがあるこの人物の登場により、本作は伊坂幸太郎+奥田英朗÷2みたいな雰囲気を醸し出している。なにしろ、真っ向から正義を振りかざさないところがいい。

 結局誰が正義の味方なのかは、読んでからのお楽しみ。

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