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2015/03/22

吉田修一「怒り」感想

 読売新聞に連載されていた小説。

 殺人事件の犯人の行方がわからない。全国に指名手配された犯人の特徴は三つ。「左利き」「顔に三つのほくろ」「三十前後の男」

 そして、この条件にあう男3人と、その周辺の人物たちのドラマが描かれる。ただ、殺人犯がなぜ殺人に至ったのか、その動機を明らかにする従来の小説とは、ちょっと違う。最後まで動機はわからずじまいだ。

 3人の男のうちの1人は、沖縄の離島の民宿でアルバイトを始め、民宿の息子の兄貴分となる。1人は、ゲイとして生きていくことに引け目を感じる青年の彼氏となる。1人は、一時歌舞伎町フーゾク嬢にまで身を落とし、その後父に漁港の町へ連れ戻されたぽっちゃり系の女の彼氏となる。

 この3人のうちの誰が殺人犯なのか、それを知りたくて読者のページをめくる手はいやが上にも早くなる。3人の男に関わる登場人物たちも、ひょっとしたら、自分のとなりにいるこの男が殺人犯じゃないのかという疑いを、自分の心から消すことができない。 1人は正解なのだが、残り2人は確かな証拠もないままに疑われてしまうことに。そういうシチュエーションを筆者は描きたかったのだろう。大切な人を無実だと信じたい。でも信じられない。そういう時、人間はどういう行動をとるか。その時、その人の本性が行動に現れる。

 人が本質的に持っている哀しさを描いた作品だと感じた。

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