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2015/03/29

BD「フューリー」感想

 ブラピ主演の戦車映画。 

 小中学生の頃、よく戦車のプラモを作っていた。主にソ連のT34とかドイツのタイガー(ドイツ語読みだとティーゲル)とかである。アメリカのM4シャーマンに手を出したことは一度もなかった。だってカッコ悪いし弱いから。

 その、かっこ悪いし弱いシャーマンよりもさらに弱いのが、旧日本陸軍の戦車(九五式や九七式)だと知った時の落胆は大きかった(笑)。こんな鉄の棺桶しかない軍隊が、よくアメリカと戦おうとしたもんだ。

 (このあたり、松本零士の戦場マンガシリーズの影響大です。)

 さて、ブラピ出演の映画は、妻によれば、まともな人物の役の時はたいてい凡作でつまらない。ちょっと変な人物を演じた時は、まず間違いなくおもしろいということである。たとえば、「イングロリアス・バスターズ」は、まさしくブラピの怪演が光っており、実に楽しめる一作となっている。

 さて、その法則で行くと、今作でブラピが演じるのは、新入りのナヨナヨ新兵をいかに鍛え上げて戦場で生き延びさせるかを、親身になって考える人情厚い上司なのだ。つまり、きわめてまともな役である。あまりにも人情厚いので、若く美しいドイツ娘と、ナヨナヨ新兵とのラブロマンスの段取りしちゃったりするくらいである。ブラピもブラピの部下たちも、前半はあきらかに精神病んでいるらしい描き方をされているのだが(敵味方の死を見過ぎたためらしいエピソードがある)、最後の方ではナヨナヨ新兵に「お前はいいヤツだ。俺らとは違う。だから生き延びろ」みたいに、いい人になっちゃうし。

 さあ、本作がおもしろいか、おもしろくないか、もうすでにおわかりであろう。

 ちなみにドイツのタイガー戦車との死闘は、映画の前半で描かれる。シャーマン4台対タイガー1台というもの。ブラピ操るシャーマンは、味方が次々に撃破されていく間に、なんとかタイガーの後ろに回り込み、装甲の薄いエンジンルームに2発撃ち込んでようやく勝利するという、まあまあリアルな戦闘シーンとなっている。シャーマンが撃っても撃っても、タイガーの分厚い装甲がパカンとはじき返すあたり、その音も含めてなかなかにリアル。あえて突っこむとしたら、「タイガー1台で単独行動?するわけないだろ」というあたりだろうか。

 問題は後半。ドイツのSS歩兵部隊300人相手に、十字路をシャーマン1台で死守するシーン。パンツァーファースト食らって装甲貫通しても、ブラピとナヨナヨ新兵はなぜか生きていたり、手榴弾放り込まれて爆発しても、やっぱり生きていたりと、驚くシーンの連続。戦車の中という閉鎖空間なのに、なぜにこの2人には、爆圧が及ばないのだろう? こういう米兵にばかり都合のよい描き方、昔のアメリカ戦争映画に多くあった。せっかく前半の戦車戦がリアルだったのに、後半でそのリアルさも台無しに・・・。前半だけリピートして見るのなら、本作にも価値があるかも知れない。

 

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