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2015/01/25

映画「草原の実験」感想

 去年の秋にwowowで放映された映画である。

 まず登場するのが、チンギスハンタイプの顔をした中年おやじ。

 飛行機のパイロットになるのが夢なのか、ゴーグルつけて飛行機のコクピットに乗り、スロットルを開ける。主翼のない飛行機が草原を走るシーンは、なかなかシュール。

 次に美少女が登場。先ほどの朝青龍と同居しているのだが、一体この二人は夫婦? 親子? 夫婦なら妻の年齢が若すぎる。親子だとしたら、なぜこんな典型的チンギスハンタイプの父親から、こんな東欧系美少女が産まれるのか? 母親が美人だったのか? 残念ながら本作に少女の母親は登場しない。

 だが、このヒロインがやがて遊牧民の青年の馬に二人乗りしたりするシーンや、映写機持つ東欧系の青年に、写真撮ってもらうシーンがあることから、チンギスハン(顔したおやじ)の一人娘らしいことがわかる。

 何しろこの映画、驚くことに、最初から最後まで、セリフが一つもないのだ。映像だけですべて察しなさい! という作品なのである。そしてこの映像が、印象的なシーンだらけなのだ。

 少女が汲んだ水を受け取って飲んだ後、残りの水を石に打ち付ける遊牧民の青年。石がその水をじわじわ吸い込んでいく。

 夜、マッチで自分の居場所を知らせながら、少女の家を去っていく東欧系の青年。マッチが一本燃え尽きるたびに、画面は真の闇となる。ややあって、少し遠い所で灯がともり、移動して、また消える。

 

 やがて二人の青年は、少女をめぐり争いを始める。竹内まりやの「ケンカをやめて~二人を止めて~私のために~争わないで~もうこれ以上~♪」状態だ。どちらも魅力的な青年。少女はどちらを選ぶのだろう? そんな映画かと思っていたら、この映画、後半でいきなりとんでもない展開を見せる。

 いや確かに伏線はあった。あったのだ。ネタバレになるので、二つのヒントのみ。

 まずはタイトル。

 モンゴル系と東欧系が混在しているところから、おそらくロシアのど真ん中の草原。そして少女の家にある様々な小物たちが、この物語の時代は1960年代前後なのよと訴えてくる。

 ここから先のヒントは、かなりのネタバレになるので、そのつもりでお読みください。

 ネタバレ注意報! ネタバレ注意報! ネタバレ注意報! ネタバレ注意報!

 映画の中盤で、軍関係者が、ある測定器を持って少女親子の家を訪れる。この測定器、東日本大震災の後のニュースで、同じような物を見たことがある人も多いだろう。

 そう、そういう話なのだ。

 ラストの衝撃的なシーンは、前半が静かで美しいシーンを多く持ってきていることもあり、対比の効果により、相当にショッキングだ。しかも、これは実話を元にして作られた映画とのこと。

 DVD化されていないので、見る機会はなかなかないと思うが、もしチャンスがあれば、是非見逃さず、ご覧になってほしい。

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