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2014/12/14

島田荘司「幻肢」感想

 以前、ラマチャンドランの「脳の中の幽霊」を読んだことがあり、本作もそれを思い出しながら読んだ。ホムンクルスだとかドッペルゲンガーだとか、そういう単語が好きな人には最適のミステリーだろう。

 以下、多少ネタバレあるのでご注意を!

ネタバレ! ネタバレ! ネタバレ! ネタバレ!

 偏頭痛やてんかんに共通するのが、脳の腫瘍や脳内出血などにより、圧力がかかった部分の血流が悪くなるという状態。そこへ外部から磁気パルスを当て、強制的に血流を増やすという治療法が、本作の肝となっている。

 交通事故から生還したヒロインは、失われた記憶を取り戻すため、脳内で記憶を司るシルヴィウス溝に、この治療法を施してもらうのだが・・・

 このあたりは「完全なる首長竜」との類似点が多く、ついつい比較してしまう。後半の種明かしは、あきらかに「首長竜」のほうが刺激的だ。過去の過ちを記憶から消去しようとする自己防衛本能に立ち向かう、という、わかりやすく、かつ読者が納得しやすいものだったからだ。しかし本作は、ヒロインの彼に対する独占欲があまりにも強烈で、読んでいて辟易としてしまう。「僕はあの半狂乱の遥を見た方がショックだった。」「でも、女はそういう時あるよ、恋愛のことではみんな女は発狂するよ」

 いや重たいです。速攻でお別れしたくなります。

 こう思うのは私が男だから? 女性が本作を読んだらどう感じるのでしょう? 

 ストーリー展開のおもしろさよりも、最新の脳医学、および医療現場がどうなっているのかが、実にリアルに描かれており、読んでいて、そちら方面にものすごく詳しくなれたなあという満足感のほうが強い一冊であった。勉強のつもりで一読することをお薦めする。

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