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2014/11/16

WOWOW「天使の分け前」感想

 本作の紹介文には「恵まれない環境に生まれ育った青年ロビーは、暴力沙汰を起こして、裁判所から300時間の社会奉仕活動を言い渡された。社会奉仕活動の対象者たちを指揮するのはウイスキー愛好家のハリーで、ロビーはハリーによってウィスキーの魅力に引き込まれていった。そして、ロビーは自らにテイスティングの才能があることに気付く。」とあります。

 当然、さわやかなサクセスストーリーかと思いますよね。でもこれ、ハリウッド映画じゃないので、そんなありきたりな展開にはなりません。2012年のイギリス・フランス・ベルギー・イタリア合作映画。監督はケン・ローチ。左翼を自認する社会派監督だそうです。

 そういうわけで、本作はちっとも道徳的なストーリー展開ではありません。主人公は自分の才能を生かすために、次々と非合法な案件に手を出すのですから。
 いくら本人に才能があっても、周囲の環境が、よってたかってそれをつぶしてしまう。まともなやり方でそこから脱出することはほぼ不可能。それが現実だとでも言うような雰囲気の映画です。

 タイトルの「天使の分け前」とは、ウイスキーを樽で熟成させている間に、中身が樽から蒸発し、年間3パーセント程度の量が減少する、その減少分のことを指します。これがあるから、寝かせれば寝かせるほど、ウイスキーの香りは素晴らしいものになるらしい。そして、主人公は1年間の減少分と同じだけの量を、超レアものの樽から失敬する。それは彼が社会でまともな職業に就くために必要な分量、まさに天使の分け前・・・そんなメタファーを感じさせる作品です。

 主人公の仲間に、あきらかに多動症と思われる青年がいます。そのキャラクターのせいで、ラスト近くでとんでもなく面白い展開になります。ルパン三世アニメ版みたいな(笑)。
 そしてラストはちょっとだけ道徳的でほろりとさせられます。だから、後味はいい映画です。

 ただ、困ったことに、見終えた後、無性にスコッチ飲みたくなる映画です。
 仕方なく(笑)、とっておきのグレンリベット18年ものを出してきて、一杯いただきました。まずはロックで。次にほんの少し加水すると、ぱっと印象が変わるところが面白い。いやスコッチウイスキー、奥が深いです。

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