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2014/07/25

大場裕一「ホタルの光は、なぞだらけ」感想

 今年の読書感想文課題図書その3。
 目次を見てびっくり。110ページほどしかページがないのですが、60近くも小見出しがあります。つまり、2ページごとに小見出しがある勘定になります。これは早く読めるぞ。ページ数も少ないし、課題図書で感想文書くのなら、本書が一番おすすめかも。
 内容も、筆者の主張はシンプルで、非常にわかりやすく書かれています。
 特に重要な主張を、小見出しでピックアップすると次の二つになります。
『新発見は準備ができている人のところに』
『役に立つとは思っていなかった』

 まず一つ目。筆者が光るホタルミミズを発見したのは偶然ではない。運がよかったわけでもない。ちゃんと情報を収集し、準備をきちんとして探したからだと言うのですね。有名人パスツールのセリフ『チャンスは、準備ができている心が好きだ』を使って、この主張を補強しています。

 二つ目。
 『何の役に立つのかわからないような研究であっても、「そんなものは必要ない」と簡単に考えてはいけない』ということを主張。
 オワンクラゲの発光物質を研究し、ガン細胞が転移する様子を知る技術を確立するきっかけを作ったとしてノーベル化学賞を受賞した下村博士。彼のセリフ『役に立つとは思っていなかった』を、そのまま見出しにしています。『下村博士は、何かの役に立つかもしれないと考えて、オワンクラゲの研究をしたのではありませんでした。オワンクラゲが光る仕組みを知りたいから研究したのです』
 筆者は、さらに有名人をもう一人出してこの主張を補強します。『ニュートンは物が地面に落ちてくることを科学的に説明しましたが、まさかそれが遠い将来に、宇宙飛行の役に立つとは思ってもみなかったでしょう』
 自分の主張を説得力あるものにするため、有名人を使うという、たいへんにオーソドックスな展開となっています。
 さらに、筆者が発光生物の研究をするきっかけになったエピソード。
『授業が終わってから中村先生に、なぜ発光生物の研究をしているのか聞きました。そうしたら、こう言われたのです。「だって、おもしろいでしょ」(中略)そうか! おもしろいからという理由で研究してもいいんだ』
 世界中の理系人間を勇気づけるエピソードですね。
『その研究が、何の役に立つのですか?』
『何の役に立つのかは、わたしにもわからないのです』
 いや素晴らしい!!!  科学者ってやっぱりこうでなくっちゃ!

 あと面白いのは、後半に描かれる筆者の家庭環境。お父さんも学者さんだったため、食事時の話題は、たいてい科学的な知識に関するものと、その感想、考察であったというのです。さらに母親も、息子がいろいろな? を見つける度に、いっしょになって考えてくれた。そんな環境で育ったから筆者は学者になれたというのですね。
 息子を理系大学に進学させたいお母さん、本書は必読ですぞ!

 さて本書、初版は2013年7月19日となっています。去年の夏です。ところが本書には、今年世界中を騒がせた例の事件を予見でもしていたのかと思わせる記述があるのです。
『この、「ほかの人がもう一度、確かめることができる」ことは、科学の世界ではとくに大事です。あとから確かめられないような研究は、ほんとうの科学とは認められません』
 うっひゃ~!
 課題図書として本書が選ばれた最大の理由が、案外この部分だったりして(笑)。

(ほら、その年に起こった大事件をさりげなく混ぜ込むという例の手が使えるぞ!)

 

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