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2014/07/06

那須田 淳 「星空ロック」感想

 今年も夏がやってきました。そこで読書感想文課題図書! まずは「星空ロック」から読んでみました。

 早速ですが、本のタイトルがなんだか冴えません。リズム感が悪すぎます。まだ「カノンロック」のほうがよかった。読んでみると案の定、作者はクラシックに造詣の深い方のようで、グレン・グールドとか、マーラーとかぽんぽん出てきます。「クラシック畑の人はリズム感(グルーブ)が悪い」と、ロック畑の人がよく言うようですが、それでしょうか。まあ、ストーリーの展開上、どうしても「星空」を入れたかったんでしょうね。

 そもそも、グールドとか、マーラーとか、普通の中学生は、「誰それ?」状態ではないのかな。

 さらに本書で取り上げられるロックの名曲も、かなりおじさん世代のものが多い。冒頭レッド・ツェッペリン「天国への階段」とか、絶対今の中学生知らないでしょ? かろうじてビートルズ「イマジン」や「スタンド・バイ・ミー」あたりが、「あ、それ聞いたことある」程度ではないかと。

 このあたりが、中学生が本書を読む上での、大きなハードルになっているような気がします(他にも、ドイツ語がすごく読みにくいとかありますけど)。

 一方、ストーリー展開は王道を行っています。

「小説の書き方講座」に「泣ける話の条件」というのがありますが、その中の、次の条件にあてはまりそうです。 

7 救われる話  
自分はたった一人だ。誰も自分のことを理解してくれないんだと思っていたら、思わぬところに自分のことを気にかけてくれる人がいたというパターン。 
自分はどうしようもなくだめな人間だ。なんの取り柄もない、生きていく価値のない人間だ。と思っていたら、思わぬところに自分の長所や努力や人間性を認めてくれている人がいたというお話。

11 奇跡による救い
様々な悲劇で泣かせたあと、最後にほんの少し奇跡をおこし、ちょっとだけ主人公に救いを与える。

13 自分より不幸な人との出会い
自分より不幸なはずなのに自分より不幸じゃない人との出会い。
自分は不幸だ不幸だと思っていたら、自分よりもっとひどい環境なのに、前向きに頑張って生きている人がいたりして、ショックを受けると同時に、自分の心のありようについて考え直す。いわゆる主人公が成長するパターンの一つ。

 ただ、主人公の背負っているものが、あまり重くないのですね。どこにでもいそうな中学生を主人公にしてリアル感を出したかったのかもしれません。でもおかげでちっともドラマが盛り上がらないのですね。だから、7のパターンにはまりそうで、はまりきっていません。

 おまけにドイツではなぜか都合良く「めちゃくちゃかわいい」女の子が登場して、主人公にからんできます。せっかくリアル路線で進めていた話がいきなり嘘っぽくなってしまって、う~ん、ありえん!

 

 さて、以前紹介した「てらさふ」によれば、読書感想文の書き方として「本の内容と、自分の身近に起こったことを、たとえ話にして重ねたり考えたりするのは鉄板なんだけど、学年が上がると、考え方や、考えたことがなんとなく大げさになっていくの」というアドバイスがありました。

 これに従って感想文を書くなら、やはり、「ドイツ人は歴史好きだけど、戦争のことは、ナチスのおかしたあやまちとして、ドイツはこれからも永遠に背負っていかなきゃいけないんで、とりあえず第二次世界大戦前後のことはすごく勉強するよ」あたりで、日本と比較して書くのがまず一つかなと・・・。

 さらに「あと大事なのは、その年に起こった大事件をさりげなく、こう(混ぜ込む)」のなら、集団的自衛権あたりを、さりげなくからめて、今後の日本のありかたについて中学生らしいまっとうな意見を述べればよいのではないかと・・・。ただ、単純に反戦って叫ぶんじゃ芸がありません。戦争にならないようにするために、中学生の自分は何をすればよいのか。それを提案してほしいものです。 

 裏表紙の絵は、ロックバンドのメンバーを描いたもののようですが、ヴォーカルの女の子が全然かわいくありません。作中では「・・・か、かわいい。むちゃくちゃかわいい。まるで天使のよう」とか「日本人にしては鼻筋の通った顔とすっきりしたあごのライン、黒いTシャツに短いジーンズからしなやかにのびた脚」とか書いてあるんですけどね。

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