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2014/04/20

知念実希人「優しい死神の飼い方」感想

 本書のキャラ設定や世界観は、過去の有名作品をそのまま流用しているのではないかと感じられる。

◎伊坂幸太郎の「死神の精度」「死神の浮力」シリーズ

 死神がこの世をうろうろして、生者を観察し、時々アドバイスくれたりする所がそっくり。

◎映画「ゴースト ニューヨークの幻

 死者の魂がこの世に未練を残していると、すぐに昇天できず、ぐずぐず現世にとどまってしまう所とか、生前に悪行を重ねすぎた魂は天国に昇天できず、暗い闇の世界に引きずり込まれる所とか、その描写がそっくり。

 最初は気になってしかたなかった。これってパクリじゃないか? オリジナリティがなさすぎるのでは? だが、読み進める内に私の本書への評価は大きくプラスに変わった。

 それは、主人公である死神が、犬、それもゴールデンレトリバーである、という設定による。死神本人の性格は、たいへん理性的で、物事をとことんロジックに考え、事件の解決策を冷静に考え出していくキャラなのだが、この世の実体となるべく仮住まいしている犬の肉体は、死神の知性とは無関係に、下界の様々な情報に、実に犬らしい(愛らしい)反応をする。

 たとえば、飼い主に怒られると、ひっくり返って腹を見せる。シュークリームが目の前にあると、よだれがだだ漏れになり、しっぽをぶんぶん振ってしまう。

 漫画チックと言えばそうなのかもしれないが、この、内面と外面のギャップが、読んでいて実に楽しい。読者が犬好きなら、そのかわいさにやられまくること間違いないだろう。

 最近こういった、表キャラと裏キャラのギャップが大きいパターン(「背徳のぐるりよざ」とか「Perfume」とか)に、自分はあまりに単純にやられすぎているような気がする。いいのだろうか・・・(笑)。

 ラストで死神の正体がわかるエピソードも含め、作者の優しさが全編に満ちあふれている作品である。伊坂幸太郎氏のような、毒の要素はない。

 舞台が末期医療患者を看取るホスピスなので、登場人物達が次々に死んでいくのだが、現役医師である作者の生死観にぶれがないので、本作には暗さがまったくない。むしろ、こういう人生の終わり方をしたいものだと強く感じた。

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