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2014/04/28

DVD「飛べ!ダコタ」感想

 『終戦間もない佐渡島の小さな村で実際にあった感動の実話を基に、イギリス兵と村民の国境を越えた心の交流を描いたヒューマン・ドラマ。1946年1月14日、高千村の海岸に不時着した飛行機は、わずか5ヵ月前まで敵国だったイギリス軍の要人機“ダコタ”だった。村人たちは様々な葛藤を抱えながらも、村長の“困った者を助けるのが佐渡の精神だ”との言葉に、“ダコタ”が飛び立つまでの間、イギリス兵を温かくもてなすのだった。』 

 以上が本作の宣伝コピーです。 

(以下ネタバレありますのでご注意ください)

 実話ベースの映画ということで、新聞記事に取り上げられていたので、興味を持っていたのですが、地方都市高松では、いったいどこでいつ上映されたのやら・・・。ふと気がついたらDVD化されていたので、見てみました。

 主演の若い二人は、残念ながら、与えられた役回りも演技も、鬱陶しいです(ごめんなさい。別に二人のことが嫌いなわけではないのです)。

 たとえば比嘉愛未。戦地から帰ってきた息子の遺骨を抱いておばさん(洞口依子)が号泣する声が聞こえるシーンでは、いちいち見に行かなくてもいいものを、わざわざ扉開けて確認に行ってるし、「帰れ」と言われているのにいつまでも帰らないし。

 よかったのは脇を固めるベンガル(消防団団長)、洞口依子や柄本明(村長)たち。セリフがかっこよすぎます。まずはベンガル。

 砂浜に頓挫したダコタ。季節柄いつ高波が来るかわからない(佐渡に打ち付ける荒波、その厳しさを、本作のカメラマンは実に上手に撮っています)。その前に高い場所へ移動させる必要がある。そこでイギリス兵たちは重い機体にロープをかけて引っ張りあげるのですが、びくともしません。そこにベンガル率いる村の衆がやってきて、彼の一声で村民総出でダコタを引っ張るのです。浜の上に無事引き上げられたダコタを見て、機長が感激のあまり、声を震わせながら英語で感謝のスピーチをします。通訳がボソボソ訳そうとするところを、ベンガルが遮る。

「通訳はいらん。何を言うたか、みんなわかっとる。こっちの言うことを一つだけ通訳してくれ。ここは佐渡だ。おらっちは佐渡もんだ。当然のことをしたまでだ」

 このセリフも、通訳されないのですが、その場にいた全員が、お互い何を伝えようとしたのか、空気を読んで理解するのですね。この瞬間、日本人とイギリス人がお互いを尊敬し合い、一体感が生まれる。砂浜が拍手で覆われます。戦後一年しかたっていないのに、こんなことが実際にあったのかと思うと、本当に驚きです。

 さらに、ダコタを再び離陸させるため、村民総出で砂浜に石を埋め込み、500メートルの滑走路を作るのです(たった500メートルの、それも石ころ敷き詰めて作った滑走路で飛び立てるダコタもすごい。さすが傑作機の呼び名も高いわけです)。

 この時、英軍との戦いで息子を亡くした桐口依子が、イギリス兵に近寄ってこう言うのです。

「あん飛行機飛べるように滑走路作るけん、あんたは生きて帰ってな。生きて、ちゃんとあんたの母ちゃんのもとに帰ってやってな」

 自分の味わった痛みを、他者には味わわせたくない。その思いが、通訳がなくとも若いイギリス兵にストレートに伝わっていく、すばらしいシーンです。

 また、滑走路を作りながら村のおばちゃんたちが、イギリス兵たちの紳士ぶりに

「誰が鬼畜米英言うたんじゃ? みんなええ人ばっかりじゃが」

「陛下もおらたちも悪い軍人にだまされとったんじゃ。」

というような会話をします。ここで終わっていれば、本作はよくある普通の反戦映画となっていたでしょう。しかし、それを聞いた村長(柄本明)がこう言うのです。

「うんにゃ、戦争を始めたんはおらっちなんだ。誰かにだまされたと思っとったんじゃ、次の戦争もとめられん」

 いいセリフだと思います。リーダーたる者は皆、こういう気概を持ってほしいものです。

 開戦時の日本人の少なからずの人たちが、軍に「鬼畜米英」と洗脳されたことを言い訳にして、他国から利権を搾り取ろうとしていたり、「この戦争に勝てばきっとこんないい思いができるぞ」などと浮かれていたのは多分事実でしょう。その点をしっかり見つめている本作は、反戦映画として一級と言えるのではないでしょうか。

 同時に、「日本は恥ずべき過去を持つ最低の国家だ」と教育され続けている某国の若い国民達が、やがてそれを言い訳にして「最低の国家には何をしてもいいのだ」的な、かつての日本やドイツ(ユダヤ人は劣等民族だから大量虐殺してもいいのだ的な・・・)がしたのと同じような過ちを繰り返したりはしないだろうか? それが心配でなりません。

 

 素晴らしい映画です。ただ、この事実が、今まで誰からも注目されなかった事、さらに佐渡の島民のほとんどが知らなかったという事にも驚きました。数少ない当時の資料である白黒の記念写真が、映画のラスト、スタッフロールのバックで写ります。

 本作を撮影するにあたって、ダコタの実機を分解して佐渡に輸送、現地で組み立てたそうで、今撮影現場に行くと、記念として実機が残っているそうです。

 残念だったのはラストのダコタ飛行シーン。CGだと思うのですが、プレステ3のCGレベルです。実機の輸送にお金かかりすぎて、予算がここまで回らなかったのかなあ。

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