« DVD「タイピスト」感想 | トップページ | 「Perfume FES 秦基博」感想 »

2014/04/13

BD「ふたりのベロニカ」感想

 1991年、フランス/ポーランド映画。 パッケージに年齢制限はないのですが、本作は明らかに大人向けの映画ですのでご注意を。

 監督はクシシュトフ・キシェロフスキ。舌を噛みそうな名前です。ですが、本作を観た後、おそらく多くの人が、この監督の名前を心に刻むことになると思います。 

 20年以上前に観た本作。不思議なストーリー展開と、印象に残る美しい映像の数々。ヒロインを演じるイレーヌ・ジャコブの魅力な表情。何より音楽が耳に残り、何度でも聞き返したくなる。そんな作品が、このたびブルーレイとなって再発売! 迷わず購入しました。

 今観ても、相変わらず不思議な映像のオンパレード。

 たとえば、心臓の病に苦しむベロニカ(ポーランドのほう)が、歩道のベンチに倒れ込むシーンがあります。この時カメラが斜めに傾き、ベロニカ視線となるのですが、歩道の向こうから50歳前後のコートを着た紳士が歩いてくるのです。そして、ベロニカの前まで来ると、突然コートの前をぱっと開けて見せる(ボカシかかってます)。いわゆる露出? が趣味のおじさんなんですね。ところがそれを観たベロニカは、胸の苦しみから立ち直り、再び歩き出す。なんとも解釈に苦しむシーンです(笑)。

 たとえば、ベロニカがおばさんの家に訪問する。すると、おばの遺言状の相談に弁護士が来ます。ドアの向こうを一瞬だけ弁護士が横切る。それをベロニカが見るのですが、なぜかこの弁護士が、小人症らしく、おばの半分くらいの身長なわけです。なぜここで小人を出す必要が?

 他にも、駅の構内を歩くベロニク(フランスのほう)をじっと見つめるおばさんのカット。それも2回も。

 よろよろと歩くおばあさんを、窓からベロニカ(とベロニク)が眺めるカット。

 人形遣いとカフェで出会う前後、黒こげの乗用車をレッカーで撤去するカット。

 知人の離婚裁判に協力を申し出るエピソードなんか、その後どうなったの? まったくもって不明のまま。

 ラストの、ベロニクが木の幹をなでるシーンも意味不明! その木は彼女にとって、特別な何か?

 カット割りもいきなり突然! という感じで、その前のカットの意味がよくわからないまま、次のシーンに! 一度観ただけではストーリー展開がうまく掴めません。

 ああそれなのに、全体を通して観ると、それらの不思議な印象が、この映画に神秘性を与えており、それが観終わった後何年も心に残って消えないという、まさに天才でなければ創れない映画と言えます。

 特に音楽は前述したように、本作の肝となっています。コンサートで胸の苦しみに耐えながら歌うベロニカ視点の映像とその歌声、その歌詞。ポーランドという国が置かれた立場を象徴するかのようなこの場面。何度も繰り返し観たくなる名シーンです。

 同じく人形遣いの人形劇も、これ単独で立派にアートとして成立しそうな素晴らしさ。息をのむほどに神秘的で美しいシーン。必見です。

 間違いなく本作は、歴史に残る名作であると言えるでしょう。

|

« DVD「タイピスト」感想 | トップページ | 「Perfume FES 秦基博」感想 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/49249/59460726

この記事へのトラックバック一覧です: BD「ふたりのベロニカ」感想:

« DVD「タイピスト」感想 | トップページ | 「Perfume FES 秦基博」感想 »