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2014/03/09

伊坂幸太郎「死神の浮力」感想

 前作と同じ設定、つまり登場する死神さんは同じ名前なのですが、扱っているテーマは別物です。

 テーマは「死とどう向き合うか」
 死後の世界が本当に怖いところかどうか、父が「一足先に行って見てきてやる。」と言うシーンがあります。いや蘇生するわけじゃないんだから、死んだら一方通行で、こっちの世界に帰って来れないじゃないかとか、読者はここで突っ込まないこと。
 こうやって読んでみると、伊坂幸太郎氏は、死が怖いんだろうなと感じます。
 それほど生に執着していなくて、「だいたい人生の美味しいところはあらかた味わってすんだから、いい加減とっとと死んであの世に逝きたいな」と思っている人も、世の中にはたくさんいると思うんですが。

 主人公の死神さんの活躍シーンが随分増えました。大怪我してるのに平気だったり、自転車で自動車に追いついたり・・・。絵的にちょっと無理目なシーンがたくさんあります。もう少し、リアル路線で描いてほしかったかな。これじゃあ映像化が難しい。

 本作にはサイコパスが登場します。共感能力が欠如した人のことらしいです。
 NHKで「共感能力を持った人類のほうが、生存競争で有利だった。そうして生き残ったのが、現在の我々である」みたいな番組をやっているのを、私も見ました。
 ところが、中にはその共感能力を持たない人もいるらしい。仲間が苦しむのを見ても、「それは他人の苦しみだから、自分は何も感じない」というタイプです。作中では「25人に1人の割合で存在する」ことになっています。それだと、学校では、クラスに必ず一人以上いる計算に・・・。怖いぞ。

 タイトルに「浮力」とある理由は、途中まで読むとわかってきます。「面倒なこと」をついうっかりやってしまった死神さんが、たまらなく可愛らしく感じられる作品です。 

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