« のっちが前髪切ったのはストレス発散のためだった! | トップページ | 恒川光太郎「金色機械」感想 »

2014/02/23

宇月原晴明「かがやく月の宮」感想

 かぐや姫の話がベースになっているものの、本作の主人公は、かぐや姫ではない。前半は姫に結婚を申し込んだ五人の貴公子たちの話がメインなのだが、後半になると、主役はなんと帝になる。全体的にかぐや姫の影は非常に薄い。後半、本作のメインストーリーは、日本と大唐帝国の外交へと変貌する。驚きの小説である。

 唐の皇帝が代替わりをし、日本に国書が送られてくる。新しい皇帝は則天武后。皇帝の座についていた若き息子を殺め、孫を傀儡とし、自らが国のトップに立った女帝から、日本よ我が属国となれという脅しの国書が届くのだ。さらに不老不死の薬をよこせと。この国書が、読んでみるとやたらとリアル。後書きを読んで納得した。元寇時のモンゴルの国書を本歌取りとして創作したものだそうだ。

 これに対する帝が、実に病弱で決断力のなさそな、はっきり言って頼りない男として描かれるのだが・・・。ラストで帝が見せる決断、その潔さに、ひたすら感動した小説であった。もうかぐや姫なんかどうでもいい状態である。

 帝が唐に送り返した返書、これは懐良親王の、大明皇帝への返書を本歌取りしたものと、後書きにある。不老不死の薬を富士山の火口に捨てさせたという、帝の思い切った行動が、この返書に、ぞっとするほどの迫力をもたらしている。このくだりを読むだけで、本作を読む価値があると言えよう。

 すごいぞ帝!

|

« のっちが前髪切ったのはストレス発散のためだった! | トップページ | 恒川光太郎「金色機械」感想 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/49249/59183663

この記事へのトラックバック一覧です: 宇月原晴明「かがやく月の宮」感想:

« のっちが前髪切ったのはストレス発散のためだった! | トップページ | 恒川光太郎「金色機械」感想 »