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2014/02/02

国分拓「ヤノマミ」感想

 石器時代、我々の祖先はどんな暮らしをしていたのか? 何を考えて生活していたのか? 彼らがもっとも恐れていたものは何か? 

 アマゾンで原初の暮らしを営むヤノマミ族。彼らと150日をともに過ごしたNHKのディレクターによるノンフィクションである。

 ヤノマミ族の生きる時代設定は、日本だと縄文時代あたりになるのだろう。中学生はよく、勉強が嫌になると、「無人島で生活したい」とおっしゃる。 そのような、無人島での生活がどのようなものか、想像力が足りない人には是非本書を読んでほしい。狩猟採集民族の価値観が、生と死の狭間に毎日当たり前のように直面する生活が、一体どのようなものなのか、淡々としかも圧倒的に迫ってくる。

 実体験の記録なのだから、冷静に書こうとしたのだろう。だが、時々作者の筆は揺れ動く。あまりの衝撃的な目撃のために。

 コロンブス以後、中南米の人口が西洋からもたらされた病気により壊滅的激減に至った! という話は歴史の授業で何度も学んできたし、多くの書物で読んできた。だが、今まさにヤノマミ族がその脅威にさらされているという現実! 本書の取材が2007年から2008年。果たして今もヤノマミ族は生き延びているのだろうか? 特に、西洋医学の威力を知った彼らが、それまで絶対的な存在として尊敬してきたシャーマンをないがしろにしだす・・・というくだりには戦慄した。このようにして、精霊とともに暮らしてきた彼らの文明は崩壊していくのか・・・。

 「アハフー」・・・。彼らの無垢な笑い声が、ジャングルの奥からいつまでも聞こえてくるとよいのに。

 背筋がぞくっとするような、上質なノンフィクションである。

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