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2013/10/20

BD「クラウド・アトラス」感想

 時代を超えた6つのストーリー。
 時代も場所も主人公の立場も、バラバラの設定でありながら、6編の底に流れるテーマは共通しています。
 いずれの短編も、搾取する側とされる側の対立を基本としてストーリーは組み立てられます。才能の枯渇した大作曲家と、若くて才能はあるが無名の作曲家・・・とか、奴隷制度で巨額の利益を得る農園経営者と、奴隷との友情と恩義に報いようとする青年実業家・・・みたいな感じです。主人公は搾取される(あるいは搾取される側を救おうとする)側にいて、搾取されなくてもすむ未来を手に入れようと、体制側に対して戦いを挑むのです。
 中にはアメリカのスリーマイル島原発事故を扱った短編もあり、今の日本の東電の不始末を招いた背景が重なって見えてきました。
                                          
 テーマは「愛」だとか言ってますが、私は本作からほとんど「愛」を感じませんでした。「お前のやっていることは大海の一滴に過ぎぬ」無駄なことだからやめろと体制側から何度も繰り返し言われても、「大海の一滴は、やがて大海に広がる」そう言って抵抗し続ける者たちの、今はかなわなくても、未来には必ず・・・みたいな使命感のようのなものを強く感じました。常識として社会に定着していることであっても「それはおかしい」と思ったことに対しては、声を大きくしてはっきり「おかしい」と発言する勇気。その実行力。

 それ以外に本作、輪廻転生を織り込んでいます。登場人物の、流れ星のあざを見ればそれはわかりますし、最後のクレジット見れば、ああ、あの人がこの人に生まれ変わったのかと、驚くことは確実です。ですが、私は輪廻転生を信じていませんので、このあたりはさらっと流して観ました。それはそれで十分おもしろかったです。
 最近、支配者と被支配者の対立を描いた映画を立て続けに観たような気がします。「許されざる者」しかり、「ジャンゴ」しかり。既得権益を守ろうとする者と闘うには、相当の覚悟がいるということを、ずっしりと感じてしまいました。

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