« 「カンヌの衝撃」再び | トップページ | 高野史緒「カラマーゾフの妹」感想 »

2013/07/20

小野不由美「丕緒の鳥」感想

 雑誌「yomyom」で不定期に登場した短編二つに書き下ろしの短編二つを加えて一冊の本にしたもの。(「丕緒の鳥」と「落照の獄」の二つは、以前にこのブログで感想を述べている。)予想どおり、王と麒麟を中心とした本編ではなく、王たちが国政に苦しんでいる時に、官や民たちがどんな苦労をしてどんな悩みを持ったかをドラマの中心に持ってきている。個人的には「丕緒の鳥 」が、ラストのその圧倒的な美しさゆえ、一番好きなのである。
 読み始めると、しばらくはリハビリが必要である。なんといっても読めない漢字だらけ。そういう漢字には、登場一回目にちゃんとルビがふってあるので、その時点でしっかり暗記する必要あり。次に十二国記のルール(世界設定)を、読む方はほとんど忘れかけているため、官職が出てくると訳わからないし、卵果って何だっけ? 状態である。しばらく読んでいるうちに徐々に思い出すのだが。
 新たな短編は、はっきり言って物足りない。王たちが苦しんでいる間に、民はおそらくこんなことで苦しんでいるんだろうな、と想像できる範囲内でドラマが展開するからだ。「丕緒の鳥」が素晴らしいのは、作者が創造した架空の儀式が持つ、圧倒的に静かな美しさゆえ。こんなにも美しい世界が、作者の頭の中にあったのかと、ただただ驚くばかりだ。

|

« 「カンヌの衝撃」再び | トップページ | 高野史緒「カラマーゾフの妹」感想 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/49249/57830821

この記事へのトラックバック一覧です: 小野不由美「丕緒の鳥」感想:

« 「カンヌの衝撃」再び | トップページ | 高野史緒「カラマーゾフの妹」感想 »