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2013/03/31

真藤順丈「墓頭」感想

 頭部に双生児の死体が入ったまま、この世に産まれた男の一代記。お医者さんが主人公の某有名マンガにも、体内から双子の肉体を取り出してキノコみたいな名前つけるのがあったような・・・。本作は双子が頭部のコブの中で既に死んでいるという点が、例のマンガとは大きく違う。
 異常に大きい頭部は出産時に母体への負担が大きすぎ、母は出産と同時に死去。父も自殺。見た目のおどろおどろしさに、誰からも忌み嫌われていた墓頭(ボズ)少年にも、やっと友人ができるのだが、その友人もあっさり事故死。自分に関わったものが次々に死んでいくのは、頭に死体を抱えているからだという設定になっていく。うーん、強引(笑)。
 両親をなくしたボズを、福祉施設の白鳥学園が引き取るんだけど、そこの生徒たちは、特異能力の持ち主だらけで、それはそれはサイボーグ009状態。例えば霊感少女アンジュ。例えば格闘技の得意なヤナタケ。例えば相手の心を読み、思うがままに操ることのできる天才ヒョウゴ。いやすごいすごい。
 途中に出てくる中国の九龍城エピソードは、チャイニーズマフィアが絡み、人売り、爆弾製造、はては毛沢東登場と、まさに何でもありあり状態で、怪しさ大爆発もいいところ。
 成人してからは、自縛霊とか不吉な怪奇現象とかが頻発するような、他者がいやがる土木解体業を率先して手がけるようになる。「あいつは頭に死体を抱えていて、それが霊とか怪異とかを跳ね返す力を持っているのだ」と噂される。うーん、ますます強引(笑)。
 冷静に読めばこれは大ボラ話で、おまけにあちこちおおげさな修飾語が頻出するのだが、とにかく面白くてグイグイ読ませる。「いやいや、ないない」とつぶやきながら読むうちに、ふと考える。ボズの霊耐性能力、この小説の登場人物はなぜか皆それを信じているみたいだけど、現実社会で、一体どれだけの人が霊を信じるというのか? 私は信じない(きっぱり)。 
 で、霊への耐性以外、ボズには一体何の能力があるの? 「手先が器用で細かい作業が得意だから、小型爆弾すぐ作れます。テロ工作員としてすごく役にたちます・・・」くらいなんだけど。それなのになんでこんな主役扱いに? 
 それはやはりボズが、一番バイタリティあふれていて、キャラが際立っているからだろう。ヒョウゴが話す世界征服構想を、「途中から何言ってるんだかわけわからない」と斬って捨てる所なんかもう最高! そして、グイグイ読ませるのは、そんなボズが結局どうなったのかを知りたいから。そして、ボズの伝説を語る養蚕家の正体が知りたいから。という気もしないでもない。
 評価に困る小説である。

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