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2013/01/12

映画「レ・ミゼラブル」感想

 子供の頃、世界文学全集で読んだ記憶があります。しかし、同じ全集にあった「巌窟王」も同時期に読んでおり(いわゆるモンテ・クリスト伯爵の話)、プロットがよく似ている物ですから(牢に入れられるが、ある人物の救いにより善人として生まれ変わり、財産を手に入れ別人として人生を再出発する。やがて美少女の後見人となるが・・・みたいな)、頭の中で混ざり合ってしまって、どのエピソードがどっちの物だったか曖昧ミーマインな状態で映画を観にいきました。
 しかし、全集にあった挿絵は、鮮烈な記憶として脳に今でも焼き付いており、ジャン・バルジャンが馬車に押しつぶされそうな男を助けるシーンなど、「おいおいそこは、両肩で馬車を背負って持ち上げる所だろう?」と、思わず突っ込みいれたり、少女コゼットがこき使われて、暗い顔するシーンはまさに挿絵のイメージそのものだなあと感心したり。
 ジャベール刑事が、人命救助中のジャン・バルジャンを手助けしようともせず、「こんな怪力男を昔見たことがある」とか歌い出すシーンには、思わず突っ込み。歌ってないでお前も手伝えよ。市民の命を守るのがあんたの仕事だろう? 同じく下水道からジャン・バルジャンがケガをした若者を背負って出てくるシーンも同様。バルジャン射殺よりも、若者の人命救助が職務として優先なんじゃないの? このあたり、日本の警官と、当時のフランスの警官では、仕事の優先順位が違うのでしょうか?
 ミュージカルなので、当然のように、のべつまくなく歌いまくります。オープニングの、奴隷が沈没船を引き揚げる時の歌なんか、おおすげえとか思って聞いていたのですが、途中からだんだん感覚が麻痺してきたのでしょうか? どの曲も同じに聞こえてきて困りました。
 ジャベール刑事は、法を守ることを第一とする自分と、法を多少逸脱してでも困っている人を助けるバルジャンと、どちらが正しいのか悩んだあげく投身自殺します。でも、キリスト教的に、自殺って神から見放される行為だったような気がしますけど、よかったんでしょうか?   自殺するくらいなら、今からでも遅くないから心を入れ替えて、バルジャンの手伝いすればいいんじゃないのとか思ったり。
 コゼットが恋する青年マリウス。彼は革命に挫折して落ち込んでいたのですが、看病に来たコゼットを目にした途端に、「愛こそすべて」とか歌い出します。おいおい、それじゃあ革命で死んでいった仲間たちが浮かばれないだろう? そのあまりの節操のなさに苦笑い(「ガンダム」なら間違いなく「この軟弱もの」とか言われるでしょう)。

 コゼットもこんな軽い男と結婚したのでは、将来の幸せが危ぶまれます。まあ、マリウス青年は資産家の孫という設定のようですから、結婚すればコゼットは一生お金には困らない。だから、それでいいのかもしれません。でも、そうすると作品のテーマがなんだかぼけてきちゃうなあ。市民の自由よりも、個人の幸せ(しかも金持ちの)のほうが大事って話でいいの?
 でもこの映画、最後はとってつけたように、革命を起こした若者たちが堂々とした歌を唄って終わります。どっちなんだよ(笑)?
 

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