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2012/12/23

DVD「ものすごくうるさくて。ありえないほど近い」感想

 父親が事故死して、残された少年が父の残したメッセージを読み解くというドラマ導入部分は、「ヒューゴの不思議な発明」とよく似ています。鍵がポイントとなる所もそっくり。違いは、まず少年のキャラクター。悩む少年を助けるのが、少女じゃなくて母親という所。そしてドラマの結果、登場人物たちは一体何を手に入れたか。

 少年はアスペルガー症候群として描かれます。数字など、やたら細かい部分まで詳しく記憶しています。タンバリンを常に持ち歩いてシャンシャン鳴らしながら歩きます。これがあれば、少年にとってはものすごくうるさくて不安らしい外の世界で、落ち着いて行動できるらしい。

 少年の性格描写で、見ていてイラッとくるシーンがたくさんあります。ビルの管理人さんを侮辱するような言葉遣い、母親への態度などなど・・・。アスペルガー症候群をリアルに描くと、こうなるのかな? そういう個性だということは、頭では理解しているつもりなのですが、生理的にどうも受け付けられません。わたしの心が狭いのか?

 そういうわけで、前半はなかなか見るのが苦痛な映画だったのですが、後半になると一転。

 捜していた物が、期待していたのとは違う物だった・・・というのはよくあるパターンなので特に目新しくもありません。本作はその後がすばらしかった。少年の心の傷が、少年とほとんど関わりのなかった人物によって癒され、さらに、孤独だと思っていた少年が、実は沢山の人々に見守られ、愛されていたという展開は、正直感動しました。

 父からの本当のメッセージは、もっとありきたりな所から発見されるのですが、これはあからさまに伏線が描かれますので、たいてい気づくと思います。

 ラスト、少年が描いた絵本と、少年のこぐブランコ。暗喩となっているのですが、これがなかなか素晴らしい。よい映画でした。 

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