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2012/09/01

映画「るろうに剣心」感想

 ネタバレあります。お気をつけ下さい。

・・・ネタバレ注意報・・・

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 原作は大人気コミックとのことですが、未読です。
 幕末の人斬りが主人公ということで、私のような年代のおじさんがイメージするのは、1974年のNHK大河ドラマ「勝海舟」に登場する人斬り以蔵です。演じていたのが、若き日のショーケンこと萩原健一。剣の腕は超一流なのに、その本性は孤独で純朴な田舎者。朴訥としたショーケンの演技はすばらしいものでした。
 もう一人思い出すのが、1977年のNHK大河ドラマ「花神」に登城した人斬り、天堂晋助(架空の人物です)。 演じるのは、これも若き日の田中健。天才的な剣術の腕を持ち、無駄のない動きで依頼を次々にこなす。しかし、人を殺す度彼の精神は蝕まれ、その目には狂気が宿る。平和な時代に生きることの出来ない哀しい人間として描かれていました。狂気の表現を田中健が見事に表現、見ていてゾクッとしたのを覚えています。最後、五稜郭で名もない兵士に撃たれて死ぬシーンも印象的でした。
 今回の映画でも、この以蔵や天堂晋助のイメージを強烈に感じました。特に、敵役の鵜堂刃衛(吉川晃司)からは、天堂晋助の影響を色濃く感じました。セリフなんか、まさに天堂晋助のイメージそのまま(名前も「堂」の一文字が共通していますね)。人斬りは、人を斬ることでしか生きていけないみたいなことを言うのですね(うろ覚え)。目から発する狂気も、カラーコンタクトを使ってうまく演出していたと思います。
 対する剣心君。対決の中で何度も狂気の人斬りに戻りそうになりながらも、ぐっと踏みとどまる。そして「~でござるよ」・・・力の抜けた柔らかい口調が最高によかったです。
 「龍馬伝」で再び以蔵(今回剣心役の佐藤健君が演じていたそうで)に人気が出たそうですが、そちらは見ていないのでノーコメント。
 しかし、佐藤健君、つくづくマンガのキャラにぴったりの顔してますね。あごが細くて目がぎょろりとしていて。で、笑顔が優しい。まさに剣心役にぴったりだと思いました。ただ、ちょっと華奢すぎて、武井咲をお嬢様だっこするシーンは心なしか足下がふらふらと・・・。いや、格闘シーン直後で疲労困憊状態を表すための演技だったのか、それとも本当にふらついたのか(笑)。
 びっくりしたのは、「斬馬刀」が登場したこと。私のような(以下同文・・・)1973年少年マガジン連載「バイオレンスジャック」の敵、スラムキングです。生まれつき異常な強さの筋肉を持つスラムキングは、ほうっておくと筋肉が自分の体を締め付けすぎて、死んでしまう。そうならないように、常に200キロ超の鎧を身につけ、筋肉に負荷をかけているというぶっ飛んだ設定の人物でした。斬馬刀も刃渡り2m以上の業物(普通は70センチちょっと、重さ1キロくらい)、おそらく重さは5キロを超えると思われます。普通の人は持つのがやっとでしょう。それを、「軽すぎる。柄を鉄にしろ」と特注させた上で、まるで棒きれのように軽々と振り回すのです。
 今回その懐かしい斬馬刀を振り回すのが、青木崇高。橋の上で剣心と「義経VS武蔵坊弁慶」ごっこを始めるあたりのアクションシーンは見応えありました。最後、「ガトリング砲の向きを変えれば勝機が」みたいなシーンで、うんうんとうなずいたりするものですから、てっきり自己犠牲精神で特攻かけるのかと思いきや・・・。
 あと、須藤元気氏が格闘技のスペシャリストとして登場。青木君と正々堂々、武器なしのガチンコ勝負を繰り広げます。途中、ラウンド間のインターバルがあるのもご愛敬。で、その時青木君は鶏肉食ったり、生卵のんだりしてエネルギーチャージするのですが、須藤氏のほうは「俺は菜食主義だから」飲み物だけ・・・いや、笑いました。これからも、「world order」で頑張ってください。
   最後に疑問を。鵜堂刃衛は、剣心が戦場に捨てた殺人剣(多くの人の血を吸った)を手にしたために、狂気の殺人鬼として生まれ変わったような描き方がなされています。当然この剣を放置しておけば、第二、第三の鵜堂刃衛が誕生すると思うのですが、今回、映画の中ではこの殺人剣、その後のエピソードが描かれていません。ということは・・・。

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