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2012/08/18

Perfume「Spending all my time」PVの意味

 「Spice」「Spring of life」と併せ、SP三部作と言われる本PV。もちろん次の新曲のタイトルが、SPで始まる可能性も十分に残っているので、現時点で三部作と決めつけてはいけないのだろうが。
 あ~ちゃんがインタビューで答えた内容によれば、本PVは、「超能力を持っているため、世間に出すと危険だから、ある施設に閉じ込められている三人」という設定になっているらしい。おじさんたちが萌えるツボも抑えまくりとのこと。なるほど、制服の色は「エヴァンゲリオン」の綾波レイを思い出させるし、腕に入った「01」「02」などの印も、「エヴァ」を連想させる。「エヴァ」放映当時中学生だった少年達は、今立派なアラサーに達しているはずだ。彼らがこのPVを見れば、そりゃ萌えることだろう。

 行きつ戻りつする二人の足。一人こつこつと歩を進める足。
 これらの映像からは、変化を求ようとする姿と、それを躊躇する姿が感じられる。

 三人は自分たちの能力を知っている。世間に出てそれを使えばどうなるか、世間から自分たちがどんな目で見られるか、それもきちんとわかっているのだ。彼女たちの、憂いを帯びた目、指先の表情がそれを物語る。
 このように、閉鎖空間に隔離されているのに、その運命を静かに受け入れている主人公たち、そういう哀しみのイメージは、映画「わたしを離さないで」と共通する。
 安っぽい南京錠がかかっただけの、警備上問題大ありなドアを、何度もノックする。外に出たいという意思表示なのか? 看視者と話し合いを持ちたいという意思表示なのか?
 外の世界に出ようと思えば、彼女らは、いとも簡単にそれを実行できそうだ。だが当然、この施設には、簡単には彼女らが外に出られないような仕掛けがあるのだろう。あるいは、最初に書いたように、彼女たちは自分の意志で、この施設からの脱出をあきらめている、あるいはそういう運命を受け入れているのかもしれない。
 だが、やがて三人は手を取り合い、ある一つの決意の元、行動を起こす。
 一人一人が発揮する能力と、三人が同時に力を合わせた能力と、どれほどの差があるのかはわからない。三人が力を合わせることで、この施設からの脱出は可能なのだろうか?

 ラストシーンは、三人がこちらを見た瞬間、浮遊していたリンゴが落下する、そういう映像で終わる。
 これは看視者に発見されたことで、脱出をあきらめた、あるいは失敗に終わったことを意味するのか? 

 エヴァでは、初号機でネルフ本部に強襲をかけようとした碇シンジが、碇ゲンドウの処置(LCL圧縮濃度を限界まで上げる)により、失神。その後ネルフを追われる・・・というエピソードがある。Perfumeの三人も、その能力を発動する直前で、看視者により、その力を奪われたのか?

 それともリンゴ浮遊(国内市場)に使っていた能力を、ついに別のこと(海外市場)に発動した瞬間と見るべきなのか? それならば、一体彼女たちは、その力を一体何に向けたのか?
 ついに海外へ進出しようとする彼女たちの今の姿を喩えているような、そんなPVである。

 閉鎖空間から抜け出したい。現状を打破したい。SP三部作からはいずれも、そのような共通したテーマが描かれているように感じられるのだ。

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