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2012/03/04

角田光代「かなたの子」感想

 先日の日本アカデミー賞では「八日目の蝉」が最優秀作品賞を受賞しました。小説のほうの感想は、以前このブログにも書いたとおり、ラストの美しい描写があまりにも感動的でした。映画でそれがどこまで再現できるか不安でしたが、ものの見事にずっこけさせられたのを覚えています。角田光代ファンの方々は、あんなエンディングでよかったのでしょうか? でも最優秀作品賞とっちゃいましたね。不思議です。ラスト以外の出来はよかったから、そこが高評価されたのでしょうか?

 さて、本作、短編を八つ集めたものです。
 最初の二編くらいは、ホラー要素が強いエンターテイメント系と感じたのですが、三作目あたりから宗教が絡み出して、「八日目の蝉」序盤を思い起こさせます。さらに五作目からは、親子関係がメインテーマとなってきます。村が飢饉となり、しかたなく口減らしのために・・・など重い設定の作品が続きます。そして、この世に生まれてこなかった多くの赤ん坊。その子への負い目が、母親の心の奥にどのような傷を残すかが、繰り返し描かれます。例えば、一度堕胎を経験した母親は、二度目の子を身ごもった時、このお腹の子は、一人目の子の生まれ変わりだろうかと思ったり、堕ろした子が、あちらからじっとこちらを見ているような気がしたり・・・。
 さらに、主人公である母親が、自分に関する記憶が曖昧であるという設定が多く、ますます「八日目の蝉・番外編」的になってきます。
 男性は読めば読むほど、「すいません、男が不甲斐ないばっかりに・・・」と身の縮む思いがいや増すことでしょう。ただ、ラストは、「八日目の蝉」同様、やはり美しい描写でしめくくられるので、そこが救いかなあ。

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