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2011/11/05

映画「ステキな金縛り」感想

 ややネタバレ含みます。その点承知の上でお読み下さい。ただ、後半の核心部分に触れるのは避けたつもりです。

 深津絵里は、「西遊記」のころから、面白い女優さんだと思っていました。当人は至極まじめに演技をしているらしいのですが、どこかとぼけた間があって、おかげで作品に独特の雰囲気を作り出すのですね。
 本作も、弁護士として、たいへんまじめにお仕事をしているのですが、その一生懸命の中に、普通の人とはちょっと違うテンポがあり、笑えます。天性のコメディー女優という評を、共演の西田敏行がされていましたが、全く同感です。
 2時間20分と、たいへん長い映画です。したがって、金縛りにあった被告を救うために、被告の上に覆い被さっていた落ち武者(霊)を法廷に立たせて、被告のアリバイを証言させて終わり、とはなりません。そこから、今度は本格的な法廷ドラマが始まります。中井貴一演じる検事が突っ込む突っ込む。
 例えば、「なぜあなたは、そんなに長時間、被告の上に覆い被さっていたのですか?」
 いや、これ、こう突っ込まれたら返す言葉ないですよね。西田敏行も「だって、おれ、落ち武者だもん・・・」ぼそぼそ言うしかできません。
 例えば、「あなたは裏切り者として処刑された。歴史の資料にもはっきり書かれている。そんな人物の証言は、信用に足る物でしょうか?」
 「それは濡れ衣だ!」と西田敏行が泣き叫んでも、彼の潔白を示す証拠がどこにも残っていないわけですよね。
 この後ドラマは、深津絵里の活躍により、意外な急展開を見せ、被告は無実となります。でも、なんとなく消化不良に感じるのは、落ち武者の無念が晴らせないままである、つまり彼は裏切り者ではないという事実を証明できぬまま終わってしまう点にあると思います。もちろん、彼の子孫が、これからがんばって、いろいろ資料を探し、ご先祖様の無実を明らかにするべく奮闘するっぽい終わり方はするのですけどね。
 笑える演出はあちこちにあり、長い作品を飽きずに見せてくれます。
 例えば、深津絵里が、落ち武者の出たという民宿を訪ねに行くシーン。バス停の近くにいたオヤジは「そこの道を入ればすぐ」とか言います。案内板にも「すぐそこ」とあるのですが、その案内板の上を、ムカデが這う。ここで観客は皆、嫌な予感がするわけです。案の定、深津絵里、いくら歩いても歩いても宿に着きません。かなり歩いてようやく着いた民宿の主人は、さっきバス停にいたオヤジ・・・。民宿の名前が「○○(内緒)」だったり、部屋の名前が「△△(内緒)」だったり、あきらかにふざけてます。
 さらに、落ち武者を見ることのできる人と、見られない人がいるという設定がよかった。ファミレスで食事を楽しむ落ち武者が、深田恭子演じるウェイトレスや一般客には見えない。ところが、客の中に一人見える人がいて、絶叫します。ちなみに、深田恭子のウェイトレスコスプレはなかなか素敵でした。彼女は最近、民放ドラマの「私はシャドウ」でも、毎回探偵の仕事のためコスプレしてますね。
 タクシーの運転手、客として乗せたのは、深津絵里一人の筈なのに、彼女がいきなり車内で落ち武者と会話を始めるものですから、非常に混乱します。でもそこは客商売なので、その会話の中になんとか入りこもうとするのですね。このシーン、髪型について語る部分は必聴です。
 全体的には、演劇によくある誇張された芝居がやや鼻につくような気も、ちょっとします。でも、上映中、あちこちで観客の笑い声や「おいおい」という突っ込みの声が絶え間なく、ラストはなんと拍手がわき起こるという、まさに演劇の観客のノリでした。楽しかったです。
 ちなみにラストは、西田敏行と深津絵里のデュエットで終わるのですが、深津絵里、なかなか歌うまいですね。
  

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