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2011/10/02

DVD「モンガに散る」感想

 台湾映画です。モンガというのは台湾の歓楽街の名前です。日本だと歌舞伎町?

 時代設定は、ウォークマンがまだカセットテープだった1980年代です。やんちゃなお兄ちゃん達が、スクーターに乗って暴走するシーンもありますが、そのスクーターが、1980年代の骨董品。懐かしい。よく見つけてきたな、という感じです。

 ストーリーはありがちなパターン。若者がヤクザの世界に足を踏み入れて、義兄弟の約束を交わす。ところが、大陸から新興勢力が介入してきて、彼らに対抗するため、やむなく仲間や親分を裏切ることに。そして悲劇的な結末が・・・という、粗筋だけ書けば、どこかで聞いたことのあるようなものになってしまいます。それなのに、本作に対する評論家の評価は皆一様に高い。なぜだろう? その疑問は、観ればわかります。

 ポイントはいくつかありますが、まずは役者たちの表情、これが第一でしょう。特に主役のモスキートと、義兄弟モンク、この二人が飛び抜けて素晴らしい。彼らのピュアな表情の美しさに、最初から最後まで、目が釘付けです。親分の一人息子ドラゴンも、前半はよかったんですが、後半は話の展開上、覇気のない演技になってしまったのが、ちょっと残念。

 次が、脚本と演出。観る者の心を揺さぶる仕掛けが随所に。

 ネタバレになるのであまり詳しくは書きませんが、例えば仲間たちで酒を飲みながら将来について語りあうシーン。他の四人が、さんざん大きな夢を語った後での、モスキートのセリフ。

「お前は?」

「日本に行く」

「どうして?」

「桜を見る」

モスキートは一枚の、桜の絵はがきを差し出す。

「親父が日本から送ってくれたんだ。まさかそのすぐ後、死んじまうとは思わなかったんだろうな・・・桜、見たことあるか?」

皆、首を横に振り、そして・・・(以下自粛。ポイントは桜の花びらによる演出、とだけ言っておきます)

 ピュアすぎます。泣けます。いやホント。文字で書くとクサイ話だと思うんですが、彼らが演じると、本当にどこまでも純粋な心が伝わってくるのですね。ぐっときます。

 台湾映画なのに、なんだか日本人のハートを直撃するような脚本と演出です。こういう映画を撮るということは、台湾人と日本人の感性には、近いものがあるということなんでしょうか。

 ピュアな役者とピュアな脚本、そして演出。この三つが、本作の評価をいやが上にも高めていると思われます。ラストの演出(ポイントはやはり、桜の花びら)もまた素晴らしい。

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