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2011/10/23

DVD「トゥルーグリット」感想

 

 まず名作と言っていいと思います。
 ヒロインのマティは、14歳の設定。蒼井優みたいな女の子で、そのくせ、保証金の交渉で馬屋の店主を言い負かす、父の敵討ちのためなら、問題大ありの保安官でも平気で雇う。すごいやり手です。はっきり言って、もし目の前に実際にいたとしたら、かなり嫌な小娘です。

 保安官のコグバーン。描かれ方がちっともヒロイン助ける保安官っていう雰囲気じゃあありません。例えば裁判で、「保安官、あんた無抵抗の相手を撃っただろ?」検事にさんざんやりこめられますが、どこ吹く風。でも、マティはそんな男であることを承知で彼を雇う。お尋ね者を必ず生け捕りにする人道的な保安官が、他にいるのにも関わらず。そんな保安官よりは、多少性格に問題があろうとも、確実に相手を仕留めることのできるコグバーンを雇うのですね。しかもコグバーン、若い時や南北戦争では、相当ひどいことをやってたらしい。それが会話の途中でポロポロ露呈します。

 さらにマティは、ラスト近くで相当ひどい少女として描かれます。彼女は、自らの手で見事に父の敵をとるのですが、最後にカービン銃をぶっ放す時の、嬉しそうな顔ときたら。
 普通今風の映画なら、「彼にも彼の事情があるのでは?」とか、「犯罪者にも人権が」とか、「殺し合いは不毛だ。復讐が永遠に続くから」とか、そういった逡巡が出てきそうなモンですが、マティは、そんなもの、一顧だにしません。だからでしょうか? 本作は、彼女にとって、それなりに厳しい現実を突きつけられるエンディングとなっています。

 本作の魅力は何か? ずばりマティとコグバーンの心の交流でしょう。悪党保安官コグバーンが損得勘定抜きで、なぜ小娘にあそこまで肩入れするのか。1対4の決闘に臨んだり、小娘抱えて夜の荒野を駆け続けたり。本作のタイトルを訳すと「真の勇気」。それを彼女が持っていたから、でしょうか?

 14歳の時の煌めくような、満点の星空の下を駆ける夢のような体験は、彼女の一生の宝物になったことでしょう。大きなものを一つ手に入れるかわりに、彼女は大きな損失を被る。でも、ちっとも後悔していない。ああ、その潔さに、見ていてすっきり爽快になれた作品でした。

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