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2011/07/24

映画「コクリコ坂から」感想

 監督が宮崎吾郎ということで、ゲド戦記アゲインか? とかなり不安でした。しかし、それは杞憂に終わりました。まず傑作といっていいと思います。
 まずは登場人物の名前から突っ込ませて頂きます。主人公、海の妹の名前が空、弟が陸・・・すいません、突っ込みます。軍隊ですか? 海軍、空軍、陸軍ですか? しかも海ちゃんのニックネームはなぜか「メル」・・・いやそれなんで? (原作によると、海→ラメール(フランス語)→メール→メルということだそうで)原作読んでないとわかんないじゃん(笑)。
 そもそもタイトルのコクリコ坂って何? 告(コク)る話ですか? 坂道で告白するんですか(笑)? そもそもコクリコって何だ? いやそれはポピーのことで、ちゃんと映画の中で咲いてたでしょ? ああ、なんか咲いてたな。あと、コクリコってのは、たしか与謝野晶子が短歌に詠んでたはず、君もコクリコ僕もコクリコって、習わなかった? ああ、どっかで読んだことあるな。おや? なんか、調べてみたらコクリコ=ポピー=ヒナゲシ=虞美人草ってなってるよ。虞美人草ってポピーだったのか? 「虞や虞や汝を如何せん」って、ヒナゲシだったのか。「おっかのうっえ ひっなげしっの はぁんなー」って唄は、虞美人草の唄だったのか・・・虞美人草って、もっと儚くて頼りなげな花かと思ってたよ。知らなかった。・・・すいません、己の無知さ加減を延々と語ってしまいました。

 ストーリーの展開は、さすが少女マンガが原作ということで、おいおい、そういう悩ませ方するんですか。お父さんが二枚目だと、娘はいつまでもファザコンから卒業できませんか? 二枚目の彼の登場で、やっとお父さんから脱却できますか。見ていてちょっとおじさん引いてしまいますよ。困るなあ・・・。

  カルチェラタンに出てくる男子生徒が、いずれもリアルさに欠けるのは描き手が女性だからでしょうか? むさ苦しい男子学生の巣窟に、いきなりかわいい女の子が二人も入ってきたら、あの年頃の男子生徒はまず、硬直します。次に誰か気の弱い生徒を犠牲にすることで、女の子と接触を図ります。さらに女の子が帰った瞬間、下ネタ話が始まります。まあ、女性から見た、理想的な男子学生を描いたフィクションということで、許容。

 ヒロインの性格がぱきっとしてて漢っぽい(おとこっぽい)ところが好感度大。まず大股でがしがし歩きます。家事をてきぱきこなしますが、動きに無駄がありません。自ら告白します(やっぱりコクる話だ・・・笑)。

 ヒロイン海の声をあてているのが、長澤まさみ。見る前は「大丈夫か? 例によって舌足らずな 子どもっぽい話し方になるんじゃないのか?」と不安でした。でもいざ始まってみると、全然気になりませんでした。すごくナチュラルだったと思います。よかったです。

 唄は今回も手嶌葵。途中カルチェラタンの学生が合唱するシーンがあるのですが、冒頭のソロを歌う女学生役を演じます。このシーンは感動的です。

 

 あと、下宿している画家の卵さんが描いた絵が、実に素晴らしい。原色を幾つも重ねて叩きつけたようなタッチで、その中に、本作で大事なキーとなる記号が描き込まれているのです。いい絵だと思いました。

 以下ちょっとネタバレ。

 演出はわりとオーソドックス。彼が海沿いの家に帰り、自室で写真を見るシーンがあります。なんのシーンだろうと思いながら見ていると、その後カメラは部屋の窓から、家の外へとスクロールし、海面に映る彼の部屋の灯りで止まります。そこへ船がやってきて、舳先で海面に移る窓明かりを真っ二つに引き裂く。ああ、なるほど、この後の二人の運命を暗示したいわけですね・・・みたいな。

 ところで、彼が本当は父の隠し子かもしれないという疑惑は、きれいに晴れたのでしょうか? 母に聞いてもわからないし、ラストに出てくる船長さんも、肝心な時には航海に出ていて知らないということだし、結局わからずじまいなんですけど。いいんでしょうか? 二人の頭蓋骨の骨格があまりにもそっくりに描かれているので、てっきり血のつながった兄弟なんだとばかり・・・。 きっとこれでいいんでしょうね、海の、晴れ晴れとした表情がそれを物語っています。

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ジブリ作品では少し高学年向け、決して子供向けじゃないように思えた。 時代は東京オリンピックの年の前年だから、 昭和38年だ。 高校二年生の少女、松崎海、愛称はメルが主人公。 彼女は母子家庭、父親が他界している。 彼女にはいっこ下の妹と小学生の弟がいる。 母親は医者で今は海外に留学中、 おばあさんの元で生活している。 そこはコクリコ荘という下宿屋をしていて、 彼女は健気にも賄いの手伝いをしながら 高校へ通っている。 彼女の日課は朝早く起き、朝ご飯の用意から。 下宿人二人とおばあ... [続きを読む]

受信: 2011/07/31 20:24

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