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2011/02/05

映画「グリーンホーネット」感想

 以前、ブルース・リーの自伝映画「ブルース・リー物語」を観たことがある。その時に初めて「グリーンホーネット」というアメリカのテレビ番組の存在を知った。町のギャングを倒す二人組の男の話なのだが、実際に相手を倒すのは、もっぱらボスの助手兼運転手である、カトーというカンフーの使い手なのだ。ボスが「カトー、やれ」と命令すると、ブルース・リー扮するカトーが、瞬く間にカンフーで敵を倒していく。そのあまりの早業に、命令した方のボスが「え、今何がおこったの?」と目を丸くする。
 ブルース・リーは、この番組を通して、世界にカンフーの素晴らしさを広めようとしていたらしいのだが、ハリウッドでは当時、まだ黄色人種に対する人種差別が根強く、「燃えよドラゴン」に至るまで、表舞台に出ることはできなかったようだ。

 さて、今回その「グリーンホーネット」がリメイクされるということで、カトー役のジェイ・チョウが、どんなアクションを見せてくれるのか、楽しみにして観にいった。
 設定として、カトーはピンチになり心拍数があがると、周囲がスローモーションになったように見える、となっていた。映像の演出としては、ピンチになると、ストップモーションになり、その間にカトーはきょろきょろと目玉を上下左右に動かして状況判断をするのだ。そして、最善の動きを決断するやいなや、ストップモーションは解けて、一瞬でカトーは敵の懐に飛び込む。ここで再度映像はストップモーションになり、カトーのカンフー技が決まる。まるで日本の有名なマンガ「ジョジョの奇妙な・・・」に出てくる、時間を止める能力を持ったスタンドの格闘シーンを映像化したような感じなのだ。いちいちストップかけずに、流れるような技の素晴らしさを一気に見せて欲しいような気もするのだが、それでは以前のテレビシリーズのように、観客が「え、今何がおこったの?」状態になってしまう、そのことを懸念したのかもしれない。
 カトーのボスであるブリットの役はコメディー俳優セス・ローゲン。彼は、父が死んだために新聞社の社長を引き継ぐものの、経営の知識などこれっぽっちもない。また、カトーが様々な才能に溢れているのに対して、何の取り柄もない、金持ちで自己中心的な社長の息子という設定である。はっきり言ってイヤなヤツなのである。傲岸不遜という四字熟語にぴったり。だから、カトーに対して一方的な命令を出し続ける。やがて、二人の人間関係にヒビが入っていくという流れになっている。実にわかりやすいストーリーだ。さらに本作が素晴らしいのは、このイヤなボス、ブリットが、さまざまなドラマを経験しながらも、結局人間的にほとんど進歩していないというところにある。いちおう、正義感に目覚めてがんばるようなドラマにはなっているのだが、それでも彼の根本的な部分に変化は見られない。いやむしろ、あれくらいのドラマで、いきなり心を入れ替えていい人になってしまわれたんでは、いかにも嘘くさいというもの。本作のような流れのほうが、いかにも自然だ。なにしろシンプルな娯楽作品なのだから、余計な人間成長ストーリーなんかは入れない方がいい。本作はその、思い切りの良さがすばらしい。
 対する悪役のキャラ、チュドノフスキーも、なかなか笑える。冒頭、街に後から進出してきた若い麻薬取引グループに対し、自分の傘下に入るよう親切に助言するシーンがある。この時のやりとりがなかなか笑えるのだが、さらにこれが伏線となって、ラストシーンでの彼のイメチェンにつながり、またまた笑えるのだ。本当はものすごく怖い人のはずなのに、自分のビジュアルを気にし出すあたり、とってもチャーミングなのである。

 本作、主役はボスのブリットではなくて、実は運転手のカトーだと思うのだが、ブリットにしてもチュドノフスキーにしても、あまりにキャラが濃すぎて、カトー君、影が薄くなっている。おもしろかった。  

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