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2011/01/28

DVD「エスター」感想

 ホラー映画です。お子様にはおすすめできません(R15指定です)。
 我々には、「子どもは生まれつき無垢で善良」「性善説を信じたい」という思い込みがあるためか、子どもが犯罪を平然と行うというドラマに対して、拒絶反応を示します。本能的に受け入れがたいのですね。
 本作では「エスター」という名の少女が、次々に極悪非道な犯罪を重ねます。しかも周囲の人間の心理的弱点をうまく探り出し、それを活用することで、意のままに操っていくのです。
 エスターを養子としてひきとる夫婦。一見何の問題もなさそうな、仲の良い夫婦に見えます。しかし、ストーリーが進行するにつれ、妻にはアルコール中毒の過去が、夫には浮気の過去があることが徐々にわかってきます。エスターは、巧みにそこを突いてくるのですね。
 結果、夫婦は互いを信じられなくなります。「おまえ、また、酒に手を出したんじゃないのか?」「あなた、また浮気をしたんじゃないの?」互いが疑心暗鬼に陥る。エスターは、二人を仲違いさせることで自分の身を安全地帯に置き、さらなる犯行を積み重ねるのです。
 ああ恐ろしい。

 夫婦には二人の子どもがいるのですが、当然彼らも手玉にとられます。まったく手も足も出ません。兄はびびっておしっこちびるし、妹に至っては、犯罪の片棒担がされる始末です。
 ああ怖ろしい。

 なぜ10歳前後の少女が、ここまで周囲の人間たちの心を手玉に取れるのか? その理由は後半で明かされます。ネタバレになるので書きませんが、なかなかショッキングな設定です。(伏線として、お風呂に入る時に内鍵を閉め、母親を中に入れようとしないシーンがあります。)
 ああ恐ろしい。

 伊坂幸太郎の「マリアビートル」では、大人の弱みを握って命令を続ける小生意気な天才中学生に対して、誰がどうやってお仕置きをするのか、わくわくしながら読んだ記憶があります。本作はホラー映画ですから、そういった爽快感はなく、ひたすら背筋の凍るような恐怖感と嫌悪感を感じるように仕上がっています。
 ああ、これが映画で本当によかった。

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