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2010/06/06

映画「ボックス!」感想

 以前紹介した百田尚樹「ボックス!」を映画化したものです。

 天才ボクサー鏑木を市原隼人が、鏑木にあこがれてボクシングを始めた進学コースの秀才木樽を高良健吾が演じます。このキャスティング、めちゃくちゃはまってます。すばらしいです。今まで、市原隼人はガアガアわめくだけで、一本調子な演技しかできない、そう思ってました。でも今回の鏑木役はまさに、市原隼人にぴったりな役です。お調子者で、自分の思い通りにいかないとすぐに横道にそれる、でも人情にはやたら厚い、そんな鏑木を熱演してます。驚いたのはボクシングの動きが実に様になっていること。ほとんど吹き替えなしだと思うのですが、もしそうなら市原君、ボクシングの才能あるのでは?

 高良健吾君を見るのは、「フィッシュストーリー」以来、二回目です。「フィッシュストーリー」ではロックバンドのリードボーカルという役所で、「これは誰かに届くのかな?」というセリフで、ものすごい存在感を感じさせてくれたんですが、今回は彫りの深い顔に陰影をつけた照明で、実に男前。その鼻筋の通った美しい顔が、相手のパンチで歪むシーンは、見ていて実に痛そうです。元から鼻がつぶれている人ならば、こんなに痛そうには見えないんでしょうか?

 映画はオープニングの演出がすばらしい。電車の中で不良たちにからまれる高校教師(香椎由宇)。そこに鏑木登場。不良たちを次々に瞬殺していくシーンなんですが、落雷か何かで電車の中が一時停電状態になる、その瞬間、相手のアゴに突き刺さる右ストレートのシルエットが美しすぎます。

 無駄な贅肉をそぎ落とした、徹底的に美しい男性陣二人に比べ、香椎由宇と谷村美月の二人のヒロインは、顔の輪郭や体のラインがやや膨らみ気味で、「ボクシング映画に出演するんなら、減量しろよ」と思わず理不尽な突っ込みを入れたくなってしまいました。まあ、谷村美月の方は、病気の治療のため、顔がむくんでいる設定なんだと好意的に解釈することにしましたが・・・。二人とも別の映画ではもっときれいだったと思うんだけどなあ・・・。

 あと、谷村美月の母親が泣くシーンが、やたらと長いのには辟易としました。他に演出なかったんですかね? たとえば、(木樽君が病室を出るまでは気丈にふるまう母。木樽君帰る途中で忘れ物に気づき、病室のドアを開けようとして、中の母親の様子に気づき、ドアを開けず、そのまま去る・・・)くらいでよいのでは? 観客は誰も、母親が延々と泣くシーンを見たいとは思ってないはずです。

 それから、当方体育会系ではないので、実際の試合前日のコンディション作りがどのようなものか、よくわからないんですが、あのオーバーワークは明らかに翌日の試合に影響しませんか? 鏑木が試合に向けて燃える様子を描きたかったんでしょうが、演出としては疑問符がつくと思います。

 その他は、原作にあったさまざまなエピソードの中から、これだけは落とせないというものを厳選し、じっくりと丁寧に映像化したと感じました。おすすめです。

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